7月2日

雪国が育てた体と心 柴崎選手「中盤を支配したい」

ポーランド戦の前半、パスを出す柴崎選手=6月28日、ボルゴグラードで(岩本旭人撮影)

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 【ロストフナドヌー=対比地貴浩】サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で日本代表は二日午後九時(日本時間三日午前三時)から、当地で初の八強入りを懸け決勝トーナメント一回戦のベルギー戦に挑む。勝利の鍵を握る存在がMF柴崎岳(しばさきがく)選手(ヘタフェ)。一次リーグ全三戦に先発し、長短の正確なパスで十六強入りに貢献した二十六歳は「最高峰の戦いを経験し成長できている」との自信を胸に大一番に臨む。

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 控えの立場から一転、大会直前のパラグアイとの国際親善試合で活躍し、先発の座を射止めた。今大会は中盤で攻守に存在感を発揮し、急成長を遂げている。一次リーグ最終戦のポーランド戦では両チーム通じてトップの一〇・八キロを走り、献身的な働きも光る。

 生来の負けず嫌いで努力を惜しまず、力を伸ばしてきた。普段はもの静かな性格だが母校・青森山田高の黒田剛監督(48)は「悔しさでげた箱を蹴り上げたこともある」。遠征のバスでは他の部員が寝ている中、試合の動画を見ながら監督を質問攻めに。午前五時ごろには寮を出て一人特訓を積み朝の全体練習前には汗だくになる日々だった。

 中学も含め六年を過ごした青森山田時代は、部の方針で雪深い冬も外で練習した。雪かきに始まり、雪に足を埋めながらボールを追い、サッカーにはハンディとなる環境を逆手に体と心を鍛えた。黒田監督は「雪が岳を育てた」と語る。故郷の青森で才能を開花させ、J1鹿島を経てスペインへ。当初は体調を崩したこともあったが「異国でやる大変さを理解し、大きくなった」。海外でも逆境を乗り越えた。

 初の八強入りへ「対峙(たいじ)する選手に負けず、中盤を支配したい」と柴崎選手。優勝候補に対してもひるまず、立ち向かう。

中日新聞 東京新聞

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