7月1日

ベルギー、強豪国への軌跡 若手登用「育てて売る」

 日本が決勝トーナメント1回戦で対戦するベルギーは、1次リーグで強豪国が苦戦する中でも3連勝を飾って首位通過し、優勝候補としての強さを見せつけている。欧州のトップクラブで主力を張る豪華タレントがずらり。国内リーグは欧州の中堅に位置付けられるが、才能あふれる選手を輩出する背景には、若手を欧州主要クラブに供給する「育てて売る」考えがある。

 「わずかな金額で買ってきた選手を育て、10倍で売れればオーケー。だから国内リーグは若い選手をどんどん使う」。そう語るのは元日本協会技術委員長でJ2山口の霜田正浩監督。昨年8月から約4カ月、ベルギー1部の中堅クラブ、シントトロイデンの第2チームでコーチを務めた。

 世界中の優れた選手や監督が集まる欧州で、イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランスの5大リーグに対し、ベルギーは選手の「供給源」となっている。成長した選手を売った移籍金などを基に新たな若手を育て、自国リーグでは次なる有望株を積極的に起用する傾向がある。「同じレベルの選手なら、1歳でも若い方を使うという価値観」と霜田監督。10代から激しい競争にさらされる。

 一方で、第2チームのリーグ戦はトップチームの日程に連動して行われることが多く、「選手がトップと第2チームを行き来しやすい」。若手は活躍次第でトップに上がりやすい環境が整っている。

 今大会のベルギーは、10代でイングランドのプレミアリーグに移籍し、チェルシーなどを経てマンチェスター・ユナイテッドのエースストライカーとなった25歳のFWルカクが、1次リーグで4得点と存在感を示す。司令塔であり、ドリブルでも相手DFを切り裂くことのできる27歳のE・アザールが、チェルシーと同じ10番を背負う。「黄金世代」と呼ばれる逸材が成熟の時を迎え、愛称「赤い悪魔」と呼ばれる代表チームを引っ張っている。 (上條憲也)

中日新聞 東京新聞

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。

速報
ピックアップ
コラム・評論

Search | 検索