西野J「窮極」の突破策 ポーランド戦パス回し
ポーランド戦の後半、交代出場する長谷部に指示する西野監督=岩本旭人撮影 |
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【ロシアW杯本社取材団】1次リーグH組を「フェアプレーポイント」により2位で突破した日本は29日、ベースキャンプ地のカザンで、7月2日午後9時(日本時間3日午前3時)からロストフナドヌーで行われるベルギーとの決勝トーナメント1回戦に向けて調整を始めた。
日本はポーランド戦で第2戦から先発メンバー6人を入れ替え、岡崎や槙野らを起用。得点機を生かせず、後半14分にセットプレーから失点した。1点を追う展開となったが、1次リーグを通過するため、試合終盤には後方でのボール回しを繰り返すなど消極的なプレーに終始し、国内外で賛否が分かれている。
日本の決勝トーナメント進出は3度目。初の準々決勝進出を狙う。
目標の1次リーグを突破したというのに、破顔一笑といかないのは終盤の試合展開が原因にほかならない。日本は試合の終盤、時間を稼ぐために後方で消極的なボール回しに終始した。猛烈なブーイングが起きる中、0−1で負けて終わらせることだけを目的に、後半37分から投入されたのが主将の長谷部だった。
後半30分すぎ、別会場のコロンビアが1−0でリードしたとの情報が入った。このままならばフェアプレーポイントの差で勝ち抜ける。西野監督は長谷部を送り込むことで、リスクは負わないというメッセージをピッチに伝えた。
長谷部は「僕にとっても初めてのケースだった」と振り返る。守るだけでなく、警告を受けないようにプレー。さらに「セネガルが追いついたら(点を奪いに)行ってくれ」と監督に指示されていた。
フェアプレーポイントでの突破に賭けた一手に「誰かが決断しないといけない。それが監督だった」と長谷部。大迫は「普通のこと」と話したが、本田は「出た選手には少し酷な部分があった」。選手の中でも評価は分かれた。
ただ、消極的なプレーを強いられた理由は自らにある。連戦の疲労を考慮して先発6人を入れ替えたチームは当初、フレッシュな選手の機動力を武器に攻め勝つプランを描いていた。だが、思い通りの展開にならず、他力に頼る奇策を選ぶ流れが生まれた。
「見ている方はもちろん納得いかないだろうし、ファンに申し訳ない気持ちはある」と批判にも理解を示した吉田。周囲を納得させるには、ベルギー戦で本来の姿を見せるしかない。 (浅井俊典)
<フェアプレーポイント> リーグ戦の順位を決める際、得失点差や総得点、直接対決の結果などで順位が決まらなかった場合に適用される決定の制度。警告はマイナス1、2度の警告による退場はマイナス3、一発退場がマイナス4−といったようにポイントを決めている。1次リーグH組の3試合で日本は警告4枚でマイナス4、セネガルは警告6枚でマイナス6だった。 (共同)

