6月29日

日本突破、負けても2位 史上初フェアプレーポイント決着

日本−ポーランド 後半、交代出場する長谷部に指示する西野監督=ボルゴグラードで(岩本旭人撮影)

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 【ボルゴグラード(ロシア)本紙取材団】1次リーグ(L)H組の日本は28日、当地での1次L最終戦でポーランドに0−1で敗れ、通算1勝1分け1敗の勝ち点4のままだったが、同組のコロンビアが1−0でセネガルを破ったため、フェアプレーポイントで同じ勝ち点4のセネガルを上回り、同組2位で2大会ぶり3度目の決勝トーナメント(T)進出を決めた。決勝T1回戦では、ベルギーかイングランドのG組首位チームと対戦する。

 W杯史上初めての、ミクロの戦いだった。日本が0−1で敗れてから約1分後、セネガルが同じスコアで敗れた。同勝ち点、得失点差、総得点すべて同じ。警告数が少なかった日本が、フェアプレーポイントの差でセネガルを振り切った。

 「チームとしては本意ではないが、戦略的なところ」と西野監督は、貴重な敗戦を振り返った。

 16強が遠のいたのは後半14分、ポーランドのFKに、ゴール前のマークが甘くなった。フリーでシュートを打たれ、均衡を破られてしまった。その後、コロンビアがセネガル戦で先制点を決め、日本が救われた。

 西野監督がファンタジー采配でかく乱した。中3日で迎えたポーランド戦。先発を第2戦から6人を入れ替えた。6人の入れ替えは2006年の第2戦クロアチア戦から第3戦ブラジル戦の3人を大きく上回る過去最多。本来サイドバック(SB)の酒井高を右MFに配置した4−4−2を今大会初導入した。

 「予想以上に気温と言うよりも湿度がかなりあるなと思った。ゲームをいい形で進めていて、3戦目を迎えるので疲れが半減しているのかなと思うが、実際は一人一人が疲弊した状態」

 勝っているチームは動かすな−。サッカー界の格言も、常識を打ち破る指揮官には関係なし。試合は気温36度でスタートし、スローペースに持ち込んだ。前半はポーランドのレバンドフスキに1本もシュートを打たせなかった。引き分け以上で2大会ぶり1次リーグ突破が決まる一戦で、守備を得意とする岡崎と武藤の2トップで「守り」から入った。

 そして、西野監督も戦った。酷暑の中、立ったまま指揮した。4月の就任時に「心身を整えたい」と言った。63歳の体を鍛えた。就任時から胸板は厚みを増し、走り込みも増やしたという。

 1996年アトランタ五輪の教え子でU−19日本代表の秋葉コーチは言う。「絶対に座らない。勝負所を見極めるためにね。一番前に立つ。指導者になって思うけどすごいこと」。勝負師としての勘を研ぎ澄ませて臨んだW杯で、敵も味方も驚かせた。

 0−1の終盤、長谷部を投入して逃げ切り態勢に入った。セネガルが同点にすれば敗退。そんなリスクを負いながら、2大会ぶり16強を手に入れた。 (占部哲也)

中スポ 東京中日スポーツ

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