6月29日

負けた…それでも残った クリーンな守り 突破につながる

 批判の渦中にあった日本の守護神が、意地を見せた。3試合連続で先発を託された35歳の川島が前半、ビッグセーブを披露。これまでの試合では不本意な守備で失点しており、「この2試合はかなりチームに迷惑をかけてきた。1失点は残念な気持ちだけど、きょうは自分が救おうと思っていた」。強い思いをピッチで体現した。

 0−0の前半32分。日本は中央から左への流れで崩されると、フリーになったグロシツキにゴール前でヘディングシュートを許してしまう。絶体絶命と思われた直後、川島が右に跳んで目いっぱい伸ばした右手1本でセーブ。場内のモニターに、ボールがゴールライン半分だけピッチ側に残っていたノーゴール判定が映し出されると、日本ファンから大きな歓声が上がった。

 2戦目まで好調のチームにあって、ただ一人逆風にさらされていた。セネガル戦では、自らのミスから先制点を許す。試合直後は「自分が試合を厳しくしてしまった」と悔やみ、批判も浴びた。

 それでも西野監督は、ポーランド戦の前日会見に選手代表として出席させ、変わらぬ信頼を強調。責任感の強いチーム最年長が、これに応えないはずがない。雪辱を胸に第3戦のピッチに立った。

 欧州でのプレー継続を求めて2015年夏から半年間、所属先が決まらなかったときもあきらめず、苦境を力に変えてポジションをつかんだ。どんな時でも前を向いて、必死に戦ってきた。「チームが一つになって、全員でつかんだ突破だと思う。うれしい」。守護神の表情がようやく緩んだ。 (対比地貴浩)

中日新聞 東京新聞

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。

速報
ピックアップ
コラム・評論

Search | 検索