6月26日

柴崎魅せた 世界の精密パス 乾の同点弾を演出

セネガル戦の後半、クロスを上げる柴崎(右)=岩本旭人撮影

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 正確無比な1本のパスが、押され気味だった日本の突破口を切り開いた。柴崎は前半の同点ゴールにつながる決定機を演出。クールな背番号7は「全く納得していない」と相変わらずストイックな姿勢を崩さなかったが、初戦に続きゲームメークが光った。

 0−1の前半34分、ハーフウエーライン付近の中央から、左サイドを駆け上がる長友へロングボールを通した。「向こうのサイドバックが良い対応をできていなかった。そこをうまく突けた」。局面を一気に変えるフィード。相手の裏を取った長友から乾に渡り、同点ゴールは生まれた。

 日本は当初、高さに勝るセネガルに対してパスを細かくつないで崩すプランを描いていた。だが、「予想以上に裏への対応が良くなかったので、個人的に切り替えた」と柴崎。この日のセネガルの出来を冷静に分析し、味方の得点を呼び込んだ。

 青森山田高2年時で既にJ1鹿島入りが内定した逸材。類いまれな空間察知能力で、右足から長短のパスを自在に使い分ける。鹿島で持ち味のパスセンスを存分に発揮し、スペイン2部リーグのテネリフェ、今季は同1部ヘタフェに移籍。世界屈指のボール扱いで知られるリーグでもまれ、技術に磨きをかけた。

 初のW杯にも「慣れてきた」と話す26歳。格上相手にも前を向いてボールが持てるようになってきた。決勝トーナメント進出へ、日本の攻撃をさらに活性化させる。 (対比地貴浩)

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◆ゲームメークも光る

 公式データでは特に後半、中央MFの柴崎と長谷部の存在感が裏付けられた。走行距離では、柴崎が前半5.199キロから後半に5.462キロ、長谷部も前半5.272キロから後半5.308キロにそれぞれアップ。両チームの疲れからか、時間がたつにつれてスペースが広がった中盤を2人で制圧した。

 負担が軽くなったのはDF陣。吉田ら4人は全員が後半走行距離を落としたが、相手の枠内シュートを前半の7本から後半は2本に抑えるなど、ピンチが少なかったからだと言えそうだ。

 柴崎は攻撃面でも、前後半を通じて得意のパスをバランスよく配給。ピッチを18分割したエリアのうち15カ所へ計38本のパスを成功させ、相手に的を絞らせないゲームメークを見せた。

中日新聞 東京新聞

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