6月25日

本田、一発回答 途中出場で同点弾

日本−セネガル戦の後半、同点ゴールを決め柴崎(左)、大迫(右)と喜ぶ本田=24日、エカテリンブルクで(共同)

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 エアポケットのようにゴール前にできた二、三メートルの空間に、本田はいた。後半33分。左の乾の折り返しに丁寧に合わせるように左足を振ると、ゴールネットが揺れる。見たかとばかりに舌を突き出す。不屈の三十二歳による三大会連続得点は、日本を救う貴重な同点弾となった。

 「一発目で決めないといけない緊張感の中で準備してきた。結果を出せたことをうれしく思う」。途中出場から6分後に訪れた瞬間をそう振り返った。

 三度目のW杯は決して順風満帆に来たわけではない。若手を重用したハリルホジッチ前監督の下で出場機会を失い、存在感は薄れていた。電撃的な監督交代が呼んだ復帰との見方はあるが、それを気にも留めない本人なりの哲学がある。

 「ビッグマウス」。謙虚さは日本人の美徳とされる価値観だが、世間体や常識にとらわれない。「うまくいかない時ほど大きなことを言う」と説く真意は、あえて自分を追い込み、成長への糧とすることにある。

 苦境に立たされるたびに得意の左足がうなりを上げた。日本が海外でのW杯で初めて一次リーグを突破した南アフリカ大会の2得点。前回ブラジル大会出場を決めたオーストラリア戦でのPK。極限の中で常に結果で見返してきた。昨年には不遇をかこったイタリアの名門ACミランを夢破れる形で去り、メキシコリーグに渡って10得点。ベテランが再び輝きを放ち始めている。

 かつてプレーしたロシアでのW杯を「選手としての集大成」と位置付ける。「ここの代表にいる連中は想像もできひんような努力をしてきて、この場にいる。それをしっかり見てほしい」。有言実行の男が再び日本サッカーの浮沈を握る立場に戻ってきた。(エカテリンブルク・浅井俊典)

中日新聞 東京新聞

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