6月25日

「おじさん」活躍しびれた 中年サポーター、人生重ねる

日本−セネガル 後半、同点ゴールを決め、岡崎選手(右)と喜び合う本田選手=24日、エカテリンブルクで(岩本旭人撮影)

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 二十四日(現地時間)のサッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会一次リーグのセネガル戦で引き分け、決勝トーナメント進出へ前進した日本。平均年齢の高さなどから、大会前は「おじさんジャパン」と揶揄(やゆ)されたベテラン選手の活躍が光った。一次リーグ突破を信じ、スタンドに駆け付けた「おじさん」サポーターたちも、自らの人生と重ねて声援を送った。 (エカテリンブルク・栗田晃、河北彬光)

 1点先行されて同点のゴールを決めた乾貴士選手は、三十歳。再びリードされて2点目を決めた本田圭佑選手は、三十二歳。ともにサッカーではベテランといわれる年齢だ。

 今大会の日本の平均年齢は二八・三歳で、過去のW杯代表チームで最も高い。ハリルホジッチ前監督時代に遠ざけられたベテラン勢の返り咲き。ただ、大会前のサポーターの目は「年功序列か」と冷たかった。

 「正直、惨敗した四年前のブラジル大会と代わり映えしないと思っていた」。東京都豊島区の会社員中野啓太さん(48)も、大きな期待はせずにロシアに観戦に訪れた。しかし、目の前でプレーする選手たちは、四年前に比べてたくましく生まれ変わっていた。自身は会社のシステム部門の管理職で、新しい技術への理解が求められる立場。「何歳になっても進歩を求めるのが大事。実績に甘えず、四年間で成長した選手に教えられた」と話す。

 岐阜県大垣市の会社員鎌田勉さん(51)は「本田のゴールにはしびれた。ベテランの力がやっぱり必要だ」。勤続二十年の休暇を五日間もらい、念願のW杯観戦に一人でやってきた。三十二歳の岡崎慎司選手が粘り強く球を追う姿に感動したといい、「ベテランのそういう姿勢が受け継がれていくべきだ」と若手への好影響を期待した。

 神奈川県大和市の会社役員秋葉知史さん(53)が観戦を決めたのは、昨年の秋ごろ。就職活動に悩んでいた長男(24)を励ますため、「決まったら一緒にW杯を見に行こう」と声を掛けた。

 就職は昨年末に無事決まったが、今度は息子に「仕事が忙しくて行けない」と断られた。一人の観戦は寂しいが、仕事をする責任の重みを感じてくれたことはうれしい。息子にも「おじさん」が活躍する日本代表にも、「いい意味で裏切られた」と言葉を弾ませた。

中日新聞 東京新聞

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