6月25日

クロース、FK弾 ドイツ救った

 前回王者のドイツが後半ロスタイム弾で息を吹き返した。F組で初戦黒星のドイツは23日、スウェーデンと対戦し、1−1の引き分け寸前、トニ・クロース(28)=レアル・マドリード=がFKを決め初勝利を挙げた。スウェーデンは1勝1敗。メキシコは韓国を2−1で破って2連勝。韓国は2連敗となった。

 表示されたロスタイムの5分が過ぎようとしていた。クロースがゴールネットを揺らすと、ドイツのベンチは、ほとんど空っぽになった。

 これぞゲルマン魂。土壇場で逆転し、重圧から解放されたレーウ監督は「試合終了の瞬間まで、ジェットコースターに乗っているようだった」と漏らした。

 メキシコとの初戦を落とし、負ければ初の1次リーグ敗退となる崖っぷちの試合で、前回の優勝を知るエジル、ケディラらを外し、先発を4人変更。GKノイアー以外は全て20代の選手を送り出した。だが前半32分、クロースの不用意なパスを自陣で奪われて先制を許し、暗雲が垂れ込めた。

 歴史が変わる瞬間が刻一刻と近づいていた。4万4000人が詰めかけたスタジアムには歓声と悲鳴が入り交じり異様な空気に包まれた。

 だが、百戦錬磨のレーウ監督は慌てない。ハーフタイムに、沈んだ表情で引き揚げてきた選手たちに指示を出した。

 「パニックになるな。短く速いパスでつなぐように」

 長身ぞろいの相手を、サイドからの低く速いクロスで崩すことを徹底して立て直した。後半3分に狙い通りの形でロイスが同点弾を決めた。それでも勝利の女神は簡単には振り向いてくれない。DFボアテング退場で10人の非常事態。ドイツは勝ち点1では納得しない。攻撃の枚数は減らさず、ひるまず攻め抜いて、勝ち点3を奪い取った。

 同点ゴールのロイスは「こういう仕事をできて誇りに思う。自分たちが勝ちに値した」と振り返る。大ピンチを脱した王者が、自信を取り戻して韓国戦に向かう。

中スポ 東京中日スポーツ

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。

速報
ピックアップ
コラム・評論

Search | 検索