6月24日

<蹴大成>大迫、歴史塗り替える きょう24時からセネガル戦

セネガル戦を控え、練習する大迫(左から2人目)ら=エカテリンブルクで(岩本旭人撮影)

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 【エカテリンブルク(ロシア)本紙取材団】日本代表は24日(日本時間25日0時開始)、当地でのW杯ロシア大会1次リーグ第2戦でセネガルと対戦する。2連勝なら、最終戦を待たずに決勝トーナメント進出の可能性も出てくる大事な一戦。日本は23日、試合会場で最終調整に汗を流した。西野朗監督(63)はコロンビア戦と同じ先発11人を選択することが確実。FW大迫勇也(28)=ブレーメン=は2002年W杯日韓大会のMF稲本潤一(38)=現札幌=以来となるW杯連発に照準を定める。「ハンパない」ストライカーの目覚めは4年前の決意から始まった。

 得意の「ハンパない」ポストプレーのように微動だにしなかった。4年半前の年末年始、故郷の鹿児島。大迫は九州男児らしく信念を曲げなかった。J1鹿島からドイツ2部リーグの1860ミュンヘンへの移籍を決断。W杯イヤーの移籍に周囲は反対した。だが、胸の内にためていた思いを吐き出し、反論したという。

 「W杯に出るためにやっていない。W杯で活躍したい。点を取りたい。勝ちたい」

 大迫の原動力、原点はそこにあった。名門・古河電工でのプレー経験もある鹿児島城西高の小久保悟監督(50)は苦笑しながら述懐する。「私たち、古い人間の思いとは違うね。私たちの時代は『W杯出場』が夢でしたから。それが『活躍したい』ですからね。次元が違います」。教え子の発想に驚き、感心し、その背中を押した。

 前回W杯ブラジル大会には滑り込みでメンバー入り。2試合で先発したが無得点に終わった。「悔しさしか残らなかった」。それでも、ドイツ2部から1部のケルンへのステップアップを果たした。屈強な大型DFとの対戦が心身の成長を促した。「大きな相手を背負うのは慣れてますからね。苦に思わない」。前回大会後の4年で“年輪”は大きく外に広がった。

 初戦のコロンビア戦で決勝弾をたたき込んだ。4年半前に誓った「W杯での活躍」を達成した。だが、今は違う新たな目標を掲げている。シーズンを終えて帰国した5月。大迫は上方修正していた。「今までの歴史を塗り替える。今まで以上の成績を残したい」。日本史上初となるベスト8進出だ。目標は「活躍」から未踏の地を目指す戦いに変わっていた。

 セネガルに勝てば、早々とベスト16入りが決まる可能性が出てくる。日本の選手がW杯で2戦連続で得点したのは02年日韓大会の稲本1人だけ。薩摩隼人(はやと)はこの日も短く決意を述べた。「踏ん張るところで覚悟をもってやるだけ。それだけですよ」。寡黙に静かに灯をともす。赤く燃え盛ってはいないが、決して消えることのない炎だ。触ればやけどだけではすまない。W杯で覚醒した「ハンパない」ストライカーには今、その熱が確かにある。 (占部哲也)

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