6月22日

イニエスタ切り開く 絶妙スルー スペイン初勝利

前半、ドリブルで攻めるスペインのイニエスタ(右から2人目)=岩本旭人撮影

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 どことなく疲れているように見えても、たった一つのプレーで局面を変えてしまう。スペインのイニエスタが決勝点を演出する絶妙なパスで、チームに大会初勝利をもたらした。

 守りに徹したイランの分厚い壁を、スペインがいかに崩すか。「難しい試合になる」と予想していた通り、右から、左から、中央からと攻撃を繰り出しても、イランは我慢強く耐えた。

 その守りにひずみを生じさせたのが後半9分。シルバからのワンツーを引き取ってドリブルを開始すると、ゴール前へスルーパス。最後はDFのクリアがディエゴコスタの右足に当たってゴールに吸い込まれる形になったが、相手を混乱に陥れるパスを入れた時点で運だけではない必然が生まれていた。

 今夏にJ1神戸に加入する34歳のMFには武術の名人めいた趣がある。プレーに力みがなく、流れに逆らわずに緩急を使い分ける。イスコ、シルバら華やかな技巧派と比べ、どことなく寂のあるたたずまいも日本人の好むところだ。

後半、ゴール前へ縦パスを出すイニエスタ(右から2人目)。パスを受けたディエゴコスタ(左端)が決勝ゴール=共同

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 初戦2日前の監督交代について「早く忘れて試合に集中したい」とこのベテランが言えば、チームは自然と落ち着く。

 疲労の色を隠せない後半26分に退いたが「戦いながらチームを一つにしたい」と話すイエロ監督には必要不可欠の存在だろう。(カザン・浅井俊典)

中日新聞 東京新聞

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