6月20日

ぶつかる強さも半端ない 日本初戦でV弾の大迫選手

コロンビア戦の後半、シュートを放つ大迫選手(左)=19日、サランスクで(岩本旭人撮影)

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 【サランスク=対比地貴浩】サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で十九日、一次リーグH組の日本は当地の初戦で強豪コロンビアを2−1で破った。決勝ゴールを決めた大迫勇也(ブレーメン)は「夢だったので最高です」。愚直に自分の武器を磨いてきた二十八歳FWが強靱(きょうじん)な体を生かしたポストプレーで日本を勝利に導いた。

 象徴的だったのは、前半6分に香川が決めたPKに至る場面。香川の縦パスを前線で受けると、相手に競り負けずに巧みな反転からシュートまで持ち込み、PK獲得につなげた。「あそこで勝てたのが良かった」と普段は口数が少ない男は珍しく冗舌だった。

 前線で体を張るポストプレーの原点は、故郷の鹿児島育英館中時代にある。入学時は主に攻撃的MFだったが、山平義幸(よしゆき)監督(38)が一年の終わりごろにFW転向を指示。猛特訓で能力を伸ばした。大迫に対抗できる選手がいなかったため、マンツーマンの守備役を監督自身が買って出た。

大迫選手のサイン入り色紙を手にする鹿児島育英館中の山平監督=鹿児島県日置市の同校で

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 山平監督は小学時代に相撲を経験。故郷の沖縄・伊良部島では盛んだといい、島内の大会でたびたび優勝するほどの実力の持ち主。そんな先生との“ぶつかり稽古”に中学生の大迫は当たり負け、地面にたたきつけられることも。だが、それでも、「もういっちょ」と練習を繰り返した。

 監督からは長身選手の長い脚に対抗するため、手で押し込んで背後のDFと距離を置く技術も教わった。山平監督は「でかい選手に対抗するすべを学んでいたことが活躍につながっている」と目を細める。その後、大迫は鹿児島城西高に進学。全国高校選手権で対戦相手から「半端ない」と恐れられる存在となった。

 体格とパワーで劣る日本にとって、ゴール近くで防波堤になれる選手は希少な存在だ。「すごくいい先生に出会えて、自分の特徴を引き出してもらえた」と大迫は言う。日本の第二戦は二十四日午後八時(日本時間二十五日午前零時)のセネガル戦。「半端ない」の原点を胸に、大迫は次戦も最前線でぶつかり合いに挑む。

中日新聞 東京新聞

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