6月20日

香川、日本のW杯史上最速弾 開始6分PK決めた

前半6分、PKで先制ゴールを決める香川(共同)

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 10番が滑り込み、ほえた。香川が日本史上最速となるW杯弾を沈めた。スタジアムの大部分を埋めたコロンビアサポーターの悲鳴。一瞬の静寂の後、歓喜が訪れた。「どうスタートを切るか。その難しさは知っている」。4年前の惨敗を体験したエースが、最高のロケットスタートに導いた。

 前半3分。香川のシュートがコロンビアDFの手に当たり、PKを奪取した。キッカーに名乗りを上げたのが香川だった。滴る大粒の汗。集中力を研ぎ澄ます。「ここまで自分がやってきたプロセスだったり、信じてやるだけ。自分自身に目を向ける」。前半6分。右脚の内側で転がしたボールは優しくネットを揺らした。

 「ほっとしている。落ち着いて決めることができた」

 4年前−。ブラジルで辛酸をなめた。ドイツ1部連覇、イングランド1部優勝の自信、誇り、実績。すべてが打ち砕かれた。奈落の底に落ち、失意から悟った。「準備してきたつもりだったけど、すべてが足りなかった。次の4年は準備したい」。香川は近い関係者に語ったという。専属トレーナーを呼び、食事、睡眠全てを見直した。室内には酸素カプセルも設置した。

 今年1月。ドイツにある香川の家に泊まった長谷川アーリアジャスール(名古屋)は感嘆した。10代の時に世代別代表でチームメート。しかし、10年前の香川は、もうそこにはいなかった。長谷川は「めちゃくちゃいろいろなことに気を使っている。真司じゃないみたい(笑)でも、あそこまでやっているから活躍してほしい」と尊敬の念を込めて言った。

 PKは2015年のアジア杯準々決勝UAE戦で外した。そして、先代も含め10番はW杯では活躍できないという呪縛も解いた。「4年前を振り返る期間は、常々やってきた。あとは集中するだけ」。19歳でA代表デビューを飾り10年。苦しみ、悲しみを味わった日本代表で、至高の雄たけびをサランスクの空に向かって放った。

 後半25分、本田と交代するまで、ピッチを走り回り、ベンチで歓喜の瞬間を迎えた。 (占部哲也)

中スポ 東京中日スポーツ

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