6月20日

西野采配ズバリで最高勝ち点3 積極果敢に追い回した

 あの冷静な指揮官の声が震えていた。「選手がタフに戦ってくれた結果だと思う。次戦に向けて? それはまだ…」。もう少しだけ、勝利の余韻に浸りたかった。

 「スタートから(受け身の)リアクションサッカーで臨みたくない」。前日の西野監督の公約通り、日本は自陣に引いて守るのではなく、前線から相手ボールを積極果敢に追い回した。

 成果はすぐに出た。3分、日本は自陣で相手ボールを奪うと、香川が前線の大迫へ縦パスを通す。やや前掛かりだったコロンビア守備陣は手薄。大迫と相手DFと絡み合いになったが、ボールは大迫側にこぼれた。

 大迫のシュートをGKが弾き、こぼれ球を香川がさらにシュート。相手のC・サンチェスが右腕で阻止したことで、日本にPKが与えられ、C・サンチェスの一発レッドカード(退場)のおまけまでついた。

 香川のPKが決まると、白いワイシャツ姿でピッチサイドに立つ西野監督が就任以来初となるガッツポーズを見せた。

 コロンビアの実力は前回大会の惨敗で身をもって知っている。西野監督は「守備に追われる時間帯は多いかもしれない」と劣勢に立たされることは分かっていた。だからこそ、あえてキーワードが「勇気」を掲げ、選手を鼓舞した。相手の攻撃の圧力を受けてばかりでは、いつかゴールラインを割られ、スタンドに詰めかけた観衆の8割方がコロンビアサポーターという「完全アウェー」の渦にのみ込まれてしまうからだ。

 粋な計らいでチームの結束力を高めた。試合前日、右ふくらはぎ痛で4日間練習を休み、最終メンバー登録さえ危ぶまれた岡崎を試合前日練習に合流させた。闘志と献身的な守備を身上とする岡崎が円陣に加わると、選手たちの顔つきが一気に引き締まった。前半39分に直接FKを決められ、試合を振り出しに戻されてもひるまない。早い段階での数的優位もあり、コロンビアの反撃をその1点に封じ込め、16強入りにはどうしても欲しかった勝ち点を、しかも望外の3を手に入れた。 (垣見洋樹)

中スポ 東京中日スポーツ

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