6月20日

大迫、ハンパない決勝弾 本田CKを頭でドンピシャ

コロンビア戦の後半28分、勝ち越しゴールを決め、ガッツポーズする大迫(中)=岩本旭人撮影

写真

 寡黙な男の表情が笑顔でくしゃくしゃになった。後半28分、大迫が本田のCKを頭で合わせて値千金の決勝ゴールを決めた。「セットプレーはたくさん練習してきた。やってきた通り。(W杯のゴールは)夢だったので最高です」。前線でボールを収める不動のワントップが、大一番でW杯初ゴールを挙げた。

 後半28分。本田の左CKに反応する。ペナルティーエリア内で体の強さを生かして相手DFとの競り合いを制し、頭ひとつ抜け出した。ボールがゴールに吸い込まれると、大声を上げて喜びを爆発させる。「たくさん練習してきたセットプレーの形が出せた」という納得の殊勲弾だった。

 W杯の厳しさを思い知らされた日から4年。ようやく巡ってきた雪辱の時だった。初出場となった2014年ブラジル大会で、1次リーグ2試合で先発に抜てきされた。しかし、背後からの圧力に屈して得意のポストプレーが通用しない。1得点もできず、厳しい現実を突きつけられた。

 「ふがいなさしかなかった」。同年の大会前にJ1鹿島からドイツ2部リーグの1860ミュンヘンに移籍し、初ゴールを決めるなど海外のレベルを知ったつもりだったが、未熟だった。

 この悔しさを糧にした。ドイツ1部のケルンに移籍、世界屈指のリーグに適応しようと個人トレーナーとともに体幹を鍛え、筋力とバランスを強化。トップ下やサイドハーフも経験し、プレーの幅を広げてきた。「毎回苦しい試合をしてきて自信になった」。挑戦の連続が、精神面でも自身を支えている。

 海外での4シーズンを経て大きく成長した28歳。今季終了後に同1部で格上のブレーメン加入が決まり、着実にキャリアアップを遂げている。その実績を引っ提げて臨んだ今大会。「点を取ってチームを勢いづけたかった」。その言葉通りの活躍で、最高のスタートを切った。 (サランスク・対比地貴浩)

中日新聞 東京新聞

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。

速報
ピックアップ
コラム・評論

Search | 検索