6月19日

西野の信念、攻める きょう21時コロンビア戦

コロンビア戦を前に記者会見するサッカー日本代表の西野監督(左)と長谷部=サランスクで(岩本旭人撮影)

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 【サランスク(ロシア)本紙取材団】日本代表は19日、当地でのW杯ロシア大会1次リーグ初戦でコロンビアと対戦する。前回大会で1−4と大敗した相手への雪辱に向け、日本代表の西野朗監督(63)は18日の前日会見に出席し、「スタートから受け身に回りたくない。自分たちからアクションを起こした中でゲームをコントロールしたい」と意気込みを語った。西野監督にとっては1996年アトランタ五輪以来となる日の丸を背負っての戦い。J1通算270勝(歴代最多)の手腕に期待がかかるが、その原動力は22年前の低評価への反骨心だった。

 西野朗監督が22年ぶりに世界の舞台に戻る。サッカー王国・ブラジルを撃破した「マイアミの奇跡」を起こした1996年アトランタ五輪以来となるが、緊張感も高揚感も見せなかった。前日会見の最後も、ロシア語でありがとうを意味する「スパシー『バ』」をわざと「スパシー『ボ』」と言い間違え、報道陣らの笑いと拍手を誘った。

 96(平成8)年。「ポケモン」や「たまごっち」のゲームが大ヒット、街には歌手・安室奈美恵のファッションに憧れた“アムラー”が出現した時代。68年メキシコ大会以来28年ぶりに五輪出場の重い扉をこじ開けた。本大会でも1次リーグ突破こそかなわなかったが、優勝したナイジェリアをはじめ、強豪ぞろいの組で2勝1敗の成績を残して帰国した。

 しかし、日本協会が下した評価は「C」判定だった。戦術が守備的すぎるという批判にさらされた。「C? いや、Dですよね。まあ、(評価が低かったという意味では)DでもZでもいいんですけどね(笑)」。西野監督はジョークを交えて述懐した。だが、この超低評価がJ1通算270勝の源泉となったという。続けた言葉に、一本の信念が込められた。

 「僕の『攻撃的な〜』とか、『超攻撃的に〜』というのに至ったのは、その評価をもらっての反骨。その後のクラブに生きた。攻撃的にゲームを進めたい。そりゃ、当たり前じゃないですか。(アトランタ五輪時も)選手に対して、『守り倒せ』、『守り切れ』とは伝えていない」

 W杯初戦。難敵のコロンビアが立ちはだかる。「スタートから(受け身の)リアクションサッカーで臨みたくない。自分たちからアクションを起こした中でゲームをコントロールしたい」。司令塔のロドリゲスにもマンマークは付けない。組織的な守備で相手のリズムを崩し、攻撃に転じる。思考の終着点はゴールだ。

 「ハードワークを求めることに終始したくない。守備から攻撃にどれだけ勇気を持って行けるか。自信を持たせて送り出したい」

 前回大会で奈落の底に落とされた天敵へのリベンジを狙う。マイアミの奇跡を起こした22年前の流行語大賞は「メークドラマ」。自身の指導者としての集大成となるロシア大会では、どんな物語を紡ぐのか。日本時間19日21時に、その第1章の幕がいよいよ開ける。 (占部哲也)

中スポ 東京中日スポーツ

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