6月19日

立ちはだかるハメス・ロドリゲス コロンビアのエース

 4年前のW杯ブラジル大会。日本の守備陣をあざ笑うかのようなループシュートを決めた姿はなお鮮明だ。その勢いに乗ってコロンビアを8強へ導き、世界的なスターへと登り詰めた。

 だが、鳴り物入りで入ったスペインの名門クラブ、レアル・マドリードでは出場機会を失い、退団を余儀なくされるなど、挫折も味わった。今回のW杯は4年前の輝きを取り戻す舞台となる。

 左足のテクニック、視野の広さといったサッカー遺伝子はプロ選手だった父ウィルソンさんから受け継いだ。両親は幼少期に離婚したが、母の下で5歳からサッカーを始めると、10代で頭角を現し、15歳で早々と自国2部リーグながらプロデビューを飾った。

 少年時代のあこがれは元コロンビア代表のMFバルデラマ。ニックネームのエル・ヌエボ・ピベ(新たな少年)は、バルデラマの愛称エル・ピベ(少年)に由来する。

 17歳で地元を離れ、アルゼンチンのクラブに移籍。ホームシックに悩み、「家族や友達が恋しかった。お金がなく、電話で少ししか話せなかった」と語っている。

 欧州へ渡り、11年には20歳で代表デビュー。前回W杯では、英雄マラドーナから「最高の選手」と絶賛された。

 ドイツ1部リーグ公式サイトには「ボールが糊(のり)で足にくっついている」「ボールを受けてパスするまで1・5秒」と技術、判断の良さへの美辞麗句が並ぶ。

 26歳の今、年俸は推定700万ユーロ(約9億円)。貧しかった少年はスポーツ界有数の富豪となった。さらに今回のW杯に合わせ、自らの仮想通貨「JR10」を発行。購入したファンはさまざまな特典を受けられる仕組みになっている。再びW杯で活躍し、自身のブランド価値をさらに高める野心がのぞく。

 左ふくらはぎ痛を抱え、万全ではないが、日本戦での出場が見込まれている。侍ブルーの前に再び立ちはだかる。 (垣見洋樹)

中スポ 東京中日スポーツ

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