6月18日
<オンサイド>狙ったカウンター メキシコが歴史的勝利
周到な準備のたまものだった。初戦の相手がドイツと決まった日から、メキシコのオソリオ監督はプランを練り、「これしかない」という狙い通りの勝利をつかんだ。
キーワードは「速い攻め」。ボールを奪ったところからのカウンターを狙った。
決勝点は前半35分。自陣から鋭いパスをエルナンデスに入れ、そこにエレラがサポート。エルナンデスの相手をぎりぎりまで引きつけての「神業」と言っていいボール回しとシンプルなパスでドイツの守備を破り、最後は左から入ってきたロサノがパスを受けて相手をかわし、右足でニアポストに低いシュートをたたき込んだ。
「速い攻めをするために両サイドのMFにチームで一番スピードのある選手を起用した」とオソリオ監督。その一人で22歳の若いロサノが決定的な仕事をした。
圧倒的にボールを支配し、パスを回したドイツに対し、メキシコはボールを奪うとまず個人で打開して一気にスピードを上げ、そのまま2人、3人で攻め切ろうとした。それが成功した回数は多くはなかったが、失敗しても諦めずに繰り返したことが、前回優勝チームを破る歴史的勝利につながった。最後は5バックにして守りを固め、しゃにむにつかんだ勝ち点3は大きい。 (モスクワ・大住良之=サッカージャーナリスト)

