6月17日

<蹴大成>武藤21.6% ドイツで鍛えた得点力

コロンビア戦に向けて調整する武藤(手前)=カザンで(岩本旭人撮影)

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 【カザン(ロシア)本紙取材団】日本代表は16日、ベースキャンプ地の当地でW杯1次リーグ初戦のコロンビア戦(19日)に向け、非公開練習を行った。格上に対していかにゴールを奪うかが課題の一つとなっている日本。パラグアイ戦(12日)では乾、香川らの活躍で4得点したが、新たな“武器”も欲しいところ。そんな中、西野朗監督(63)が高いシュート決定率に目を付けて抜てきしたFW武藤嘉紀(25)=マインツ=は屈強なDFぞろいのドイツリーグで磨いた得点力を自信の源に「(W杯という)大舞台でも決められる。結果で証明する」と第3の男に名乗りを上げた。

 「病気の鳥」がロシアで復活する。度重なるけがに苦しみ、ドイツで不運を意味する愛称をつけられた武藤だが、完全に復調した。弱小クラブの一つ、マインツの一員ながら、少ないチャンスをものにする「シュート決定率」は21・6%。世界の名だたるストライカーに引けを取らない。

 「フィジカルもスピードもコロンビアの方が上。ボールを持つ時間は短くなるけど、個人で打開できれば得点のチャンスも増える」。15日の練習後、1次リーグ初戦のコロンビア戦に向け、表情を引き締めて語った。非公開練習では、同じ右MFの原口とドリブル突破を繰り返し、ゴールまでのイメージを頭に刷り込んだという。

 代表から一時遠ざかるなど、代表FWの序列の中では低かった武藤を抜てきした西野監督は先月のW杯メンバー発表で「シュート数は多くないが、成功率が非常に高い。想定しているより(日本の)チャンスは少ない中で、彼みたいな嗅覚を持った選手が必要」と理由を語った。

 裏付けるデータがある。今季のドイツ1部リーグで武藤は出場27試合で8ゴール。シュート数は37本で決定率は21・6%だ。1次リーグ第3戦の相手ポーランドのエース、レバンドフスキは同30試合で29ゴール。シュート数は127本で決定率は22・8%。決定率だけを見れば、強豪バイエルン・ミュンヘンに所属するレバンドフスキとほぼ同等で、武藤が少ない決定機を確実にものにしていることが分かる。

 利き足の右足だけでなく、左足、頭とシュートに偏りがないのも魅力の一つ。ドリブルで自ら持ち込んでも、ゴール前で待ち伏せしても得点を奪い途中出場の短い出場時間でもゴールを決めている。西野監督は15日、右ふくらはぎの張りで別メニュー調整だった岡崎について「オカ(の状態)が一番気になる」と発言。岡崎が復調しない場合という条件付きながら、コロンビア戦では武藤が重用される可能性が高い。

 「自分では大舞台で決められると思っている。口だけじゃなくて、結果で証明したい」と武藤。屈強なDFがそろうドイツで磨いた得点力が、日本代表の浮沈の鍵を握る。 (垣見洋樹)

中スポ 東京中日スポーツ

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