6月13日

前線の献身で一体感 最後の強化試合 パラグアイに4−2

日本−パラグアイ 後半、ドリブルで攻める岡崎=インスブルックで(岩本旭人撮影)

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 【インスブルック(オーストリア)=浅井俊典】日本代表は12日、当地で行われた国際親善試合でパラグアイと対戦し、乾(ベティス)の2得点などで4−2と逆転勝ちした。西野監督は就任後3戦目での初勝利。日本は前半に先制点を許したが、後半6分と18分に乾が立て続けにゴールを奪って逆転。ともに1点ずつ加点して3−2で迎えた試合終了間際、香川(ドルトムント)の得点で試合を決めた。

 これほど必死な日本代表を見たのはいつ以来か。勤勉さを前面に出してひたすらボールを追い、今は耐えどきと見るや低く構えて自陣に守備網を敷く。ワールドカップ(W杯)に出場しないパラグアイとの対戦は時間経過とともに大味な試合になったが、半年も勝利のない現状を何とかしたいという選手の意志は伝わってきた。

後半、ボールを奪う香川=インスブルックで(岩本旭人撮影)

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 「グループとして戦えていた。非常に満足している」と西野監督。8日のスイス戦から先発10人を入れ替えたテスト起用で一挙4得点。本大会を目前にしてやっと手応えが得られたのは、1トップの岡崎とトップ下の香川、前線2人の献身がある。

 岡崎は最前線から守備のスイッチを入れ、2度、3度と相手に追いすがった。後半18分の乾の逆転弾では、相手DFを引き連れてミドルシュートのコースを開ける気の配りよう。この日ベンチに回った吉田から「あの犠牲心がチームを助けた」と感謝された。

 その岡崎とつかず離れずの距離を保った香川は、いつもの華麗さより泥くささを優先。「僕も前から圧力をかけることで後ろの選手が反応してくれた」と振り返る。

 選手の自主性を尊重する西野監督の就任以来、攻守ともにちぐはぐな試合が続いてきた。ようやく行き着いたのは、全員が労をいとわず走り、少ない好機に懸ける戦い方。弱者の兵法ともいえるスタイルは、本大会に向けた現実的な一手といえる。

 終了間際、香川のゴールが決まるとベンチの選手まで飛び出して祝福した。まだ1試合に勝っただけ。W杯でうまくいく保証は何もない。ただ、ずっとチームに欠けていた一体感が出てきたのは収穫だろう。

中日新聞 東京新聞

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