先発濃厚の香川「失うものは何もない」 トップ下で走り回る
パラグアイ戦に向け調整する香川=オーストリア・インスブルックで(岩本旭人撮影) |
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チームは連敗。個人でもトップ下で本田の控えに甘んじる。陰の漂う現状を振り切るように、エース番号の10を背負う香川が、胸の内を明かした。「失うものは何もない。何を言われようが、言われ切った(批判は十分浴びた)と思っている。恐れはない。上にのぼっていくだけ」。先発濃厚な12日のパラグアイ戦は、エース復権へ最後のチャンスだ。
スイス戦の先発組が軽めのメニューで引き揚げた10日、同戦に途中出場の香川は最後までグラウンドで汗を流した。
西野体制下、オーストリアで始まったW杯直前キャンプは主に4−2−3−1の布陣。「3」の中央で攻撃のタクトを振るうトップ下は現状、本田が最優先。けがで試合から遠ざかっていた香川は2番手の扱いだ。しかし、定位置争いに決着がついたわけではない。
スイス戦で、日本の攻撃陣は決定機をほぼゼロに抑え込まれる厳しい内容だった。本田や宇佐美は相手の守備ラインの手前で足元にボールを求め、前線に切り込む動きに乏しかった。
そんな課題も香川には織り込み済み。「相手の守備も固い中で、前に仕掛けることが必要になる」。重厚な本田に対し、軽快な香川は走り回るトップ下像をつくろうとしている。
ザッケローニ元日本代表監督時代に10番を襲名。マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)とドルトムント(ドイツ)という欧州のビッグクラブにも在籍した。しかし、代表でエースの輝きを放ち続けたとは言い難い。今大会のアジア予選でも、大黒柱の仕事は果たせなかった。
今年4月のハリルホジッチ前監督解任後、結果が伴わない日本代表。世間の期待、信頼は急速にしぼんだ。今こそ、10番の名誉挽回のチャンス。1トップの岡崎とのコンビで、前線をかき回す。 (垣見洋樹)
