6月10日

未完の攻め 遠いゴール 日本、スイスに0−2

後半、ボールを奪われピッチに倒れ込む本田(左)。右は原口=スイス・ルガノで(岩本旭人撮影)

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 【ルガノ(スイス)=浅井俊典】8日にスイスとの強化試合に臨んだ日本代表は、攻撃が機能せずに0−2で完敗した。国際サッカー連盟(FIFA)ランキングは日本の61位に対し、スイスは6位。ワールドカップ(W杯)ロシア大会に出場する実力国相手に結果を出して本大会に弾みをつけたかったが、課題が残る内容となった。

 日本は布陣を3−6−1から4−5−1に変更して本田(パチューカ)、吉田(サウサンプトン)らが先発したが、前半終了間際にPKを与えて先制された。後半にも右サイドを崩されて加点された。

 チームは9日、試合会場のスイスからイタリアのミラノを経由して事前合宿地のオーストリア・ゼーフェルトに戻る。同日は全体練習をせず、事前合宿地入り後初めての休養にあてた。12日にオーストリアのインスブルックでパラグアイとW杯前最後の強化試合を行う。

     ◇

 ガーナ戦に続き、日本はスイス相手に得点すら奪えなかった。W杯に向けて募る不安。どんな試合の後でも前向きな発言をすることの多い長友の表情が険しくなった。

 「厳しい。これではW杯は勝てない」

 前半42分にPKで先制点を奪われた。W杯のライバル国の力を考えれば、1点を追う展開は十分にありうる事態。しかし、個の能力が高く組織力もあるスイスを前に打開策が見つからない。

 事前合宿で繰り返し取り組んだサイドからのクロスは中央のFWに合わず、技術に自信のある本田や宇佐美が正面から密集地帯をくぐり抜けようとしてスイスの守備網にからめ捕られた。日本の決定機はほぼなかったといっていい。

 選手たちの言葉を借りるなら、原因は一つではない。「守備に走らされ、ボールを奪ったときには前に行く力が残っていなかった」(大迫)、「狭いエリアを崩すことに固執しすぎ。フットサルじゃない」(乾)、「攻撃面の整理ができていない」(柴崎)。

 監督交代によって急ピッチで仕上げを求められるチームは、明確な攻撃の決まり事を描けないでいる。西野監督は「攻撃から守備への連動性は求めるところまできている」と述べるが、W杯で対戦する格上相手にいかにゴールを奪い、勝ち点をもぎ取るかは見えないままだ。

 過去の大会で日本についてまわった課題は決定力不足だった。ただ、今の代表にはそもそも惜しいと呼べる場面が乏しい。最後の詰めまでたどりつけていないところに、深刻さがある。 (浅井俊典)

 宇佐美(攻撃の停滞に)「誰かが何かをしないと崩せない。コンビネーションだけでは駄目で、個で打開できないと」

 槙野(4バックに)「どうボールを奪いに行くかという部分では、ガーナ戦よりはうまくいった。3バックに比べると体は自然に動く」

 原口(攻撃に)「僕ら前線の選手が何かをつくり出さないといけない。自信を失ってはいけないし、逃げちゃいけない」

◆「迫力、変化が足りない」

<西野朗・日本代表監督の話> 守備では連動して戦えていた。守備から攻撃への切り替えも良かった面はあったが、最終的に攻略できていない。迫力、変化が少し足りない。 (共同)

中日新聞 東京新聞

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