6月6日

西野監督、4−5−1初システム

パスを出す本田=オーストリア・ゼーフェルトで(岩本旭人撮影)

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 【ゼーフェルト(オーストリア)占部哲也、垣見洋樹、原田公樹】サッカー日本代表は4日、合宿地のオーストリア・インスブルック近郊のゼーフェルトで午前と午後の2部練習を実施した。午後は戦術練習も行い、西野朗監督(63)がG大阪で黄金期を築いた「4−4−2」とは違う、就任後初めてとなる「4−5−1」を採用。4バックに本格的に取り組みながら、ハリルホジッチ前監督が強調した「縦に早く」だけでなく「横幅を広く」使う攻撃を注入した。

 西野監督が導入した4バックの形は「4−5−1」だった。4日午後の戦術練習で初披露。10年間指揮を執ったG大阪で黄金期を築いた「4−4−2」ではなかった。右に原口、左に宇佐美を配置。ドリブルを武器にする2人を両翼に置き、「横幅」を使った攻撃が繰り返された。

 ハリルホジッチ前監督は「縦に早く」を攻撃の軸とした。軸というよりも、そこに固執。振り子の針は振り切った。事前合宿の戦術練習では縦の長さを3分の2ほどにし、横幅は公式戦と同じにしている。「横に広い」ピッチにし、縦一辺倒ではなく左右に揺さぶる攻撃の形が増えた。極端に振れた針を戻そうとする狙いを感じる。

 4バック、3バックの二刀流に目は奪われるが、注視すべきは中盤。どちらも1トップを採用し、ハリル政権時よりMFの人数を増やしている。「中盤での攻防というものをまず意識させる。相手ゴールにすべて直結する展開にもっていく必要はない」。西野監督は本大会のメンバー発表会見で語っている。中盤を制する者が試合を制す−。20世紀後半に生まれたサッカー界の格言を理想としている。

 かじを取るのは本田。4日の戦術練習では、香川は一度も主力組のトップ下に入らなかった。唯一の左利きが中央に構えることで、左サイドへの展開が激増。本田を経由して、左サイドの宇佐美→長友からクロスというパターンが軸となった。W杯ブラジル大会を指揮したザッケローニ元監督の遺産を再利用しているようにも見えた。

 ハリル体制では採用しなかった3バックにトライ。今度は同じ4バックでも「縦」一辺倒ではなく「横」の意識も注入した。前政権は上意下達だったが、現政権は対話路線に変更。凝り固まった頭の中を一度ほぐす−。その先にある「対応力」を引きだせるか。19日のコロンビア戦まで時間との闘いは続く。

中スポ 東京中日スポーツ

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