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能登半島地震特集揺れに耐えた『毘沙門様』 平安期の木像見つかる
門前の宝泉寺『金比羅堂』能登半島地震で被災した石川県輪島市門前町の宝泉寺の「金比羅堂」から、十一世紀の平安時代のものとみられる等身大の毘沙門天像が見つかった。高さ約七十センチの須弥壇(しゅみだん)の上で、立っていた状態から揺れで横倒しになったが、ほとんど無傷。住職の木原正信さん(70)は「よくぞ無事だった」と驚いている。 (富山支局・北山真由子) 重文級ほとんど無傷住職『被災者に福徳を』有形文化財の管理団体として国に認められている高野山文化財保存会の井筒信隆さん(59)や仏師らが確認した。像の高さは約百三十センチ。木彫の様式から平安時代の作とみられ、傷みが少なく、後世の手がほとんど加えられていないため、「重要文化財クラスの価値がある」という。 木原さんによると、毘沙門天像をまつった経緯は記録に残っておらず不明。だが、毘沙門信仰が盛んだった平安時代に別のお堂にまつられていたものが、江戸時代に同寺の境内に移されたのではないかと推測している。 同じ壇の上にあったほかの仏像は、ほとんどが落下するなどして破損した。井筒さんは毘沙門天像に「よう頑張ったな」と声をかけ、壇の上から降ろして布団などで覆って保護した。 木原さんは「被災者が毘沙門様の福徳にあやかれるよう、土足で入れるお堂を造りたい」と願う。そして「ご祈祷(きとう)して、福を授かるだけでなく福を人に与えられるように。がれき撤去を手伝ってくれたボランティアを見て強く思った」と話している。
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