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能登半島地震特集めぐる季節 癒やしの命
天然記念物 開花能登半島地震で被害を受けた石川県輪島市門前町南の阿岸本誓寺で、県指定の天然記念物のアギシコギクザクラが開花した。阿岸宏照住職(62)は「被災者の心が少しでも癒やされれば。余裕があれば桜を見に来て」と呼びかけている。 アギシコギクザクラは山桜系菊桜の一種で、一つの花に八十〜百四十枚の小さな花びらをつけることで知られる。つぼみのときは赤いが、開花するにつれて花びらが白くなるのが特徴。数日前から直径三センチほどの花が開き始めた。 同寺は石垣が崩落したり、本堂の壁に亀裂が生じるなどの被害を受け、境内は立ち入り禁止のテープが目立つ。 阿岸住職は「今週末が見ごろ。うちの寺も含め、皆さん地震で大変だが、桜が少しでも復興への励みになればありがたい」と話している。 (報道部・高橋雅人) ツバメ飛来 産卵
能登半島地震で被害が大きかった石川県輪島市門前町で、飛来したツバメが例年通り、被災した家屋で卵を温めている。 同市門前町日野尾の清土(しゅうど)政紀さん(64)方では、車庫にツバメのつがいが巣をかけ、三個の卵を産んだ。 ツバメは三月初旬に飛来。地震で家の壁ははがれ落ち、筋交いが折れるなどしたが、巣は無事だった。清土さんは「よう落ちんかった」と振り返り、妻のとみゑさん(57)は「地震があってもよく出ていかんかった」と喜ぶ。 清土さん方は二十数年来、毎年ツバメがやって来る。何者かのいたずらで巣ごと落とされたヒナを救い、清土さん自らの手で育てたこともある。家の建て替えも頭にある清土さんだが、毎年飛来するツバメは家族同然。「ツバメのためにも、何とか家を残せればなあ」と思案している。 (南砺通信部・飯田竜司)
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