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能登半島地震特集お父さんごめんね 墓石崩壊 納骨できず遺影拝む日々
能登半島地震 3週間能登半島地震では多くの墓が倒壊し、発生から三週間たった現在も墓地には倒れたままの墓が目立つ。石川県輪島市門前町の女性は地震発生の日に夫の遺骨を納骨するはずだったが、墓が倒れ仏壇に置いたまま。「お父さん、ごめんね」と手を合わせる毎日だ。 (報道部・高橋雅人) 「お父さんはお墓に行きたくなかったんやろうか」。門前町道下の農業早川すゑさん(77)は、夫の清さんの遺影を見ながらつぶやいた。清さんは糖尿病を長年患い、昨年九月末に亡くなった。四十九日の法要は十一月。「寒い冬をお墓で過ごすのもかわいそう」と、納骨は春を待って彼岸後の三月二十五日に決めた。 その日、早川さんは法要に合わせて帰ってくる娘夫婦のため、台所に立っていた。突然の大きな横揺れ。食器棚が倒れ、ガラスが飛び散った。床の間の壁が崩れ遺影ががれきの下に埋まったが、割れてはいなかった。清さんの遺骨を置いていた仏壇も無事。「お父さん、一緒に建てた家が傾いてしまったよ」。思わず涙があふれた。 墓を見に行った息子の清治さん(50)から「墓石はほぼ全部倒れていた」と聞いた。納骨は中止。「ろうそくは余震が来ると危ないから、線香だけで堪忍してね」。今も仏壇にある遺骨に毎朝語りかけ、手を合わせる。そんな母親を見ながら、清治さんは「墓にまでは手が回らない」と肩を落とした。 金沢大の石渡明教授らの調査では、門前町では墓石の80%以上が倒壊。多くが手つかずのままで、遺骨が野ざらしになるのを防ぐため、ビニールシートがかぶせられている。
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