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能登半島地震特集

がけも生活も亀裂癒えず  能登半島地震 門前・腰細

崩れたがけの下に集落がある腰細地区=13日、石川県輪島市門前町で

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『雨が降ると崩落心配』

 能登半島地震でがけの一部がえぐり取られ、むき出しの土砂の下に点在する二十数戸の民家。今もがけ崩れの危険が続く石川県輪島市門前町腰細地区の住民は自宅を守るため、不安の中での生活を送っている。 (報道部・西浦幸秀)

 門前町の中心部から南へ十キロほど、がけ地と海岸に挟まれた腰細地区には四十人ほどが住む。集落の裏手にあたる高さ約三十メートルのがけは地震で亀裂が入り、上部の幅約二十メートルの土砂が崩落。市はブルーシートを張るなど応急対処したが、さらに幅約五十メートルにわたり、新たに崩落の危険があるという。

 がけの真下に住む川上勝則さん(68)は自宅から約五十メートル離れた車庫で避難生活を送る。電気は通じているが、水道とガスはない。風呂とトイレは自宅ですます。川上さんは「家は危険だが壊れているわけではないので、仮設住宅に入れるかどうか心配です。夏は暑くて、とても車庫では生活できない」と話す。

 地震直後は高齢者を中心に十人ほどが一時、避難所へ行ったが、家が心配ですぐに全員帰ってきた。二世帯が親せき宅に身を寄せる以外は自宅で生活を続ける。

 地震後、静岡の息子宅に十日ほど避難していた四柳しげさん(81)も、やはり家や地区のことが心配で戻った。「いつでも外に飛び出せるよう寝る時も普段着のままや。まとまった雨が降ると心配でたまらん」

 同所では、避難勧告は出されていないが、県奥能登農林総合事務所は裂け目に観測装置を設置し、状態を監視している。林野庁に災害関連緊急治山事業申請しており、担当者は「一刻も早く工事に取りかかり、何とか梅雨の季節の前には危険を取り除きたい」と話す。

 市によると、門前地区にはほかにも民家近くのがけ崩れ危険個所が十五カ所あるという。

 

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