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能登半島地震特集

能登半島地震 被災の高爪神社 社再建 険しい道

無事だった本殿の梅鉢紋を見つめ再建への道を探る福山肇雄さん

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 能登半島地震では、前田利家をはじめ加賀藩歴代藩主が崇敬してきた石川県志賀町大福寺の能登高爪神社も、奥宮が傾いたり鳥居が崩壊するなどの被害を受けた。宮司の福山肇雄さん(81)は「前田家ゆかりの社を、何とか後世に残すのが責務」と再建の道を探っている。 (報道部・西浦幸秀)

宮司『住民の復興待ち』

 高爪神社は七世紀末、持統天皇の祈願所として建立されたという。平安時代末期、仏教が流入して神仏が融合し、山頂に奥宮が鎮座する高爪山(三四一メートル)は、能登富士と呼ばれ修験者の修行の場だった。加賀藩祖の前田利家は、修験僧の大福寺北之坊に深く帰依し、十一面観音を安置。今も能登国三十三番観音霊所の二十六番札所として参詣者が訪れる。

高爪山山頂の奥宮。地盤に亀裂が走り傾いている(福山さん提供)=いずれも石川県志賀町大福寺で

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 築約百年の奥宮は、今回の地震で社殿の真下に亀裂が走り、建物は半壊状態。山のふもとにある高さ十五メートルの鳥居は跡形もなく倒壊し、拝殿も壁が崩れて扉が外れた。ただ、一七八六年に建てられた本殿は幸い被害なし。神社が所蔵する国指定の重要文化財の「高爪大明神懸仏(かけぼとけ)」や十一面観音像、利家が北之坊にあてた直筆の書状も無事だった。

 神社の再建には約七十人の氏子の協力が頼みだが、地区の人たちも同様に被災しており復旧作業に追われる毎日。震源地からやや離れているためかボランティアもあまり来ず、住民たちは自力で住居を修復している。こうした作業の合間を縫って、氏子たちは拝殿や蔵にシートをかぶせ応急処置をした。

 福山さんは「まずは地域の人たちの生活が元に戻ることが第一。皆さんの生活が落ち着いたら氏子たちと相談して歴史ある神社を再建したい」と語る。

 

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