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能登半島地震特集3・25能登半島地震 発生から半月余(4) 能登半島地震のメカニズム海底断層にずれ / 『共振』で家屋被害今回の地震は、能登半島の西方沖で海底の断層がずれたことが原因と考えられている。 国土地理院(茨城県つくば市)の推定によると、この断層は北東−南西に延び、長さ約二一キロ、幅一四キロ。垂直に一・二メートル、水平に〇・七メートルずれ、南東側が北西側に乗り上げた。両側から水平方向に圧縮力がかかる逆断層型だった。 研究者に知られた断層だったが、国の長期的な地震の確率予測には入っていない。金沢大の調査チームは地震後、輪島市門前町の二カ所で地表に表れた断層を確認した。 地震規模を示すマグニチュード(M)は6・9。震源に近い北陸電力志賀原発(石川県志賀町)が耐震設計で想定していた規模を上回ったが、揺れの激しさを表す加速度は、同原発で二二六ガルで、想定する設計限界の四九〇ガルは下回った。震源から六キロと陸上では最も近い同県志賀町富来は九四五ガルで、阪神大震災(最大八九一ガル)を上回った。 建物被害は富来より遠い輪島市門前町で目立った。金沢大の村田晶助教は民家と地盤の揺れの共振が原因と分析する。 一般に古い民家が揺れる周期は〇・五−〇・七秒。震源からやや離れたため、輪島市門前町では地盤もほぼこの周期で揺れ、建物の揺れが増幅した。富来は〇・五秒以下の小刻みな揺れで倒壊家屋が少なくなった。 震度5弱を観測した余震はこれまでに三回発生。体に感じる地震は十日午後二時現在で三百五十四回になった。 余震の回数は次第に減り、規模も小さくなっている。金沢大の平松良浩准教授は「今回と同じ逆断層型だった一九九三年の能登半島沖地震では、本震から一カ月後に最大余震が発生した。まだ安心できない」と注意を呼び掛ける。 能登半島周辺では、過去百年間に建物に被害が出た地震が一九三三(昭和八)年、九三年など五、六回起きている。
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