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能登半島地震特集『ガンバレ』郵便に 配達も『ガンバル』
全国から続々門前郵便局増員、誤配なく能登半島地震で被災した石川県輪島市内に、全国各地からの小包や書留が殺到し、同市内の郵便局では局員が連日、仕分けに追われている。多くが全国各地から寄せられた支援物資や義援金とみられ、中には小包の表に大きく「がんばれ」と書かれたものも。特に被害の集中した同市門前郵便局は職員を増員し、迅速な配達に対応している。 地震発生翌日の二十六日午前八時。郵便物を載せたトラックがいつもより三十分ほど遅れて、輪島市門前町の門前郵便局に到着。下ろされた荷物を見て職員らがどよめいた。「やっぱり水か」。ペットボトルの飲料水の箱がずらりと仕分け場所の床に並んだ。その数およそ三十箱。水の配達ラッシュはその後約一週間にわたって続いた。 ふだん門前郵便局が一日に配達する郵便物の数は約二千七百通だが、地震後は約三千通に。中でも書留は十倍に、小包は三倍にそれぞれ増えた。郵便物の配達に遅れが出ないよう、同局には近隣の郵便局から六人の配達員が応援で駆け付けた。 配達には一苦労している。郵便物を自宅で受け取らずに避難所や親せきに転送する依頼は百件を超えた。あて先の住所に行っても本人が不在で、近所の住民にたずねてようやく居場所が分かることも。それでも誤配はない。配達先はみな顔見知りというベテラン配達員(60)は「本人がいなければ絶対に配らない。間違いがあってはいけないから」と気を引き締めた。 (報道部・伊藤弘喜)
門前の黒島郵便局移動車で奮闘能登半島地震で、石川県輪島市門前町黒島町の黒島郵便局は、局舎裏のがけが崩れる恐れがあるため、移動郵便局車で業務を行っている。災害時用の車両も出動し、貯金・保険のオンライン業務は衛星通信を使っている。 同郵便局は地震発生後も業務を続けていた。しかし、三月末に局舎裏のがけに崩壊の危険があることが分かったため、四月二日から、約百メートル離れた空き地に移動郵便局車で仮設局を開設した。 災害時用郵便車両「スペースポスト号」は全国で十二台しかない特殊車両。日本郵政公社北陸支社には一九九八年に配備され、新潟中越地震や福井の豪雨災害でも活躍した。貯金・保険の端末と衛星アンテナを搭載し、衛星通信で出入金や振り替えなどができる。移動局車と併用することで、郵便局で取り扱うほとんどの業務がこなせる。 黒島局の高森宝一局長は「こういう時こそ郵便局が利用者の近くでお役に立たないといけない」と話す。局の周辺は高齢者が多いだけに、利用者からは「近くて便利」と好評という。 (報道部・加賀大介)
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