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能登半島地震特集

『ここで役に立つとは』 穴水の元看護師 皆森さんが健康管理

被災者でありながら元看護師としてお年寄りの体を気遣う皆森照子さん(右)=6日午後、石川県穴水町大町で

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 能登半島地震で被災した石川県穴水町で、自宅が全壊した元看護師皆森照子さん(58)=同町大町=が、ボランティアで近所の高齢者の血圧を測っている。血圧計と聴診器、血中の酸素濃度を測る機器は万一に備え、家を取り壊した際に持ち出した。皆森さんは「こんな形で役に立つとは思いませんでした」と、活動を続けている。

 皆森さんは昨年三月、二十七年間看護師として勤務した公立穴水総合病院を定年退職した。今回の地震で自宅は全壊したが、無事だった血圧計などは貴重品とともに保管していた。

 皆森さんは日々、地元町内会が設営した休憩所で、夫(58)とともにスタッフとして運営を切り盛りしている。この際、訪ねてくる高齢者の健康管理のため血圧測定を思いつき、休憩所のほか、高齢者の自宅に出向いて要望に応えるようになった。血圧を下げる薬を服用していても、大災害の直後だけに、高齢者の血圧は上がり気味という。

 六日、町炊き出しの昼食を受け取るついでに血圧を測ってもらった同町大町、宮森静枝さん(81)は「地震の前から血圧の薬を飲んどりん。上手やし、助かるねえ」と笑顔で感謝していた。

 皆森さんは「被災して近所の人の心が一つになった気がします。決して悪いことばかりとは思っていません」と前向きに話していた。

 (穴水通信部・島崎勝弘)

 

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