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能登半島地震特集

市立輪島病院 透析を再開 想定外 長期断水で中断

人工透析を再開した市立輪島病院=5日午前、石川県輪島市で

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水確保や避難患者連絡

課題 浮き彫りに

 能登半島地震で断水の被害を受けた石川県輪島市立輪島病院は、水道の復旧と余震の心配が減ったことから、震災後に中断していた人工透析を再開した。人工透析は多量の水を必要とするが、同病院は長期間の断水を想定していなかった。今回の地震で、病院の水確保という問題も浮かび上がった。 (高岡支局・出口有紀)

 同病院は断水に備え、受水槽に百十二トンの水を確保していた。しかし、今回の地震で水道管が破損し、発生の三月二十五日から同二十八日午前まで断水が続くと、水が足らなくなった。血液を浄化する人工透析で、一回に使う水は一人当たり約二トン。それぞれ週に二、三回受ける必要がある。同病院の患者は八十人で、地震翌日の二十六日は実施したが、調理など生活用にも欠かせないため、対応しきれなくなった。

 結局、給水車で水を運んでも追いつかないと判断し、人工透析を金沢市内の病院に頼むことにした。水道が復旧した後も、余震の恐れがあることなどから様子を見て、四日に再開した。

 このほか、避難所などへ移った透析患者と、連絡を取るのに時間がかかる問題も明らかになった。ただ、医師と看護師の大半は、地震直後、自主的に病院に出勤した。

 担当の松本洋内科主任医長(46)は「地震でがれきに挟まれ、腎不全になるクラッシュ・シンドロームなど、緊急に透析が必要な患者がいなかったのが不幸中の幸いだった」と胸をなで下ろす。

 中道秀治事務長(51)は「病院の設備に被害はなかったが、通信や水など外部の原因で病院が孤立するとは、地震を経験するまで分からなかった。普段の訓練とは認識が違っていた」と話している。

 

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