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能登半島地震特集

心強い 町内会のきずな 能登半島地震 テントで『休憩所』

自分たちで設けたテント張りの休憩所に集う住民たち=5日午後、石川県穴水町大町で

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穴水町大町・上出

 能登半島地震で被災した石川県穴水町大町の上出町内会の住民が、倒壊した家屋の跡地に、自分たちでテント張りの休憩所を設置した。住民たちは休憩所に出入りして、炊き出しを配る手伝いをするほか、おしゃべりなどでひとときを過ごし、復興への心のよりどころとしている。同町内会には震災前、九十世帯が暮らしていたが、震災で既に取り壊したり、今後壊す予定の家屋は二十戸を数える。(穴水通信部・島崎勝弘)

情報板、配食、おしゃべり…

住民集い笑顔に

 休憩所をこしらえたのは三月三十日夕。テントは町内会の倉庫から引っ張り出し、町商工会から会議用の机といすを借りてきた。倒壊した家屋の戸を利用し、掲示板も作った。住民の避難先や転居先、町からのお知らせなどを掲示している。電灯はないので、住民が集うのは日の出から日没まで。町内会長の小森正幸さん(69)は「地震で住民が町内会から離れていくのが寂しい。休憩所に顔を出してもらい、住民同士のきずなを強くしていきたい」と訴える。

 五日からは住民の間で当番制を敷き、町からの三食の配食の世話にもあたる。弁当を受け取りに来た大田キミ子さん(76)は夫(82)と二人暮らし。「朝昼晩と皆さんの顔を見るだけで心強いわいね」と笑顔を見せた。

 家屋を取り壊した後の生活を決めかねている人も多いが、全壊した消防士鹿野憲治さん(54)は、場所は違うものの同じ町内会に家を建てる決断をした。「生まれ育ったところ、やっぱり離れられんわいね」と話していた。

 

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