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能登半島地震特集

高齢者ら自ら片付け ボランティア要望調査開始

床下に走った地割れを見つめる川嶋さん=石川県志賀町前浜で

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志 賀

 能登半島地震の被害を受けた石川県志賀町は三日、町内で被害の大きかった笹波地区の住民に、ボランティアの支援の要望の聞き取り調査を始めた。一方、高齢者が多い被災住民は自ら懸命に後片付けに励んでいる。 (報道部・青木真)

 志賀町の海沿いにあり、笹波地区に隣接する前浜地区。副区長の川嶋秀昭さん(62)の自宅床下には地割れが走り、十センチほどの段差ができた。地震発生直後に避難し、三日ほどたって自宅への立ち入りを許可された。金沢市と七尾市に住む息子や奥さんの家族が駆けつけ、家の中を片付けた。

 「発生当初は地区のお年寄りはパニック状態で、ケアするボランティアがいてほしかった。町の対応はようやく追いついてきたが、当初は現状を把握できていなかった」と不満も口にした。

 通りを一輪車に瓦の破片を載せて押す高齢者が通った。近所の山寺昭さん(77)。これまでに自宅から片道十分のごみ捨て場まで何往復もした。

 そのわきで別の無職男性(67)が「私は親せきが来てくれるけど、お年寄りだけの家は大変。手伝ってあげたいが、自分のことで手いっぱい」と話した。多くの住民が「早く手助けがきてほしかった」と口にした。

    ◇

 志賀町は、まず道路の修繕や給水などインフラの復旧に力を入れたため「(ボランティアの)対応に割く職員がいなかった。交通渋滞も起きかねなかった」と、直後の受け入れは避けた。もちろん、被災者を気に掛けていなかったわけではなかった。町と社会福祉協議会の職員ら約三十人が先月三十一日、一人暮らしや高齢者世帯の約三十軒で後片付けなどを手伝った。

 今月二日には、金沢市の企業からボランティアの申し出があり、笹波地区で要望の集約を始めた。町は「まず、どんな支援を求めているか把握したい」と話している。

 

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