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能登半島地震特集高齢化に震災 追い打ち 揺らぐ門前商店街
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市門前町。「門前」の名の由来となる総持寺祖院前の「総持寺通り商店街」も、店舗の倒壊などが相次いだ。商店主は高齢者が多い。復興を目指す人がいる一方で、再起を断念する人も目立つ。地元に「七百年続いている」と伝わる商店街が残るのか。先の見えない不安が広がっている。(報道部・白名正和) 『やめる』『頑張る』 商店主、迷いの中「つらいですが、地震でやめる決心が付きました…」。四十年以上続く「よしむら化粧品店」の吉村美代子さん(70)は店をたたむことを決めた。「もう高齢なので、これ以上は。常連客にも閉店は伝えていません。混乱でそれどころじゃないから」。笑顔を見せるが、目は潤む。 夫の酉(みのる)さん(73)と一九六三(昭和三十八)年ごろに開店。応急危険度判定で「危険」とされた店舗は柱が大きく傾き、取り壊すしかない。「再建費用なんて貸してくれない。小さな家を建てて、夫と暮らします」 震災は店を壊しただけでなく、得意客の地元離れという“二次被害”ももたらしかねない。総持寺通り協同組合代表で薬局を経営する五十嵐義憲さん(59)は「再開できても、売り上げが確保できるかわからない。不安ですよ」と表情を曇らせた。 五十嵐さんによると、商店街は約七百年前、総持寺祖院前に並んだ紙屋や油屋に由来する。昭和三十年代には七十近い店が並び、震災前は二十七店舗が軒を連ねた。すし店の森高久さん(68)は、「『危険』の赤紙が張られた家が多い。この先どうなるのか」と店がさらに減ることを心配する。 中には、復興に向け力を込める商店主もいる。店の入り口が崩れた呉服店の下口昌彦さん(64)は「一からやり直し。頑張るしかないよ」。陶器店の沢口由紀子さん(57)は「下がるところまで下がったら、後は上がるだけ」と話した。
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