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能登半島地震特集

ごみ有料化 被災者混乱 輪島・門前地区でスタート

被災した家庭から出される大量のごみ=1日午後、石川県輪島市門前町で

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 能登半島地震で大きな被害を受け、避難生活や復旧作業が続く石川県輪島市門前地区で一日、ごみの有料化がスタートした。旧門前町だった同地区は昨年二月、すでに有料ごみ袋を導入していた輪島市と合併。約一年の協議と住民への説明を経て、同地区でも一日からの有料化が決まっていた。しかし、避難生活の苦労に追われる被災者たちからは「こんな時にやらなくても…」と疑問の声が聞かれた。(報道部・加賀大介、伊藤弘喜)

能登半島地震

市もバタバタ 延期策出せず『当面は全量回収』

 有料化後は家庭、事業所ともに可燃、不燃ごみに分けた上で、有料の指定収集袋に入れるか、シールを張る必要がある。指定袋やシールを使っていないごみは、警告シールが張られて収集されない場合もある。

 有料化後の収集作業は二日以降に始まるため、一日の門前地区ではあちこちで、被災者たちが家族総出で住居の片づけなどに当たり、“駆け込み”で災害ごみとしてまとめてごみを出す姿が見られた。道路沿いや空き地には生ごみや割れたガラス、壊れた家具や電気製品、雑誌類など雑多なごみの山ができた。

 友人らに手伝ってもらい自宅を片づけていた石崎幸子さん(63)は「こんな大変な時になぜ、という気持ち。避難所でも分別を厳しく注意された。ごみのことまで気にしている余裕はないのに」とやり切れない様子。薬局を営む星野浩子さん(46)は「店はなんとか整理できたけど、自宅は倒れた家具や割れた食器でまだめちゃくちゃ」と疲れた表情を見せ、「せめて一カ月ぐらいは延期してほしかった」と訴える。

 市の環境対策課にも「本当に有料化するのか」「猶予期間は設けられないのか」など、市民からの問い合わせがあったという。同課は有料化実施について「地震後の混乱で延期などを検討する余裕がなかった」と、苦しい事情を明かした。

 地震で出た災害ごみの後始末に追われる被災者もまだ多いため、実際の運用では「当面は災害ごみも一般ごみも区別せず全量回収する。指定袋の利用や分別は自主性に任せたい」としている。

 

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