7月12日

<戸田和幸 Russia>フランスの強みはセンターラインにあり

 見事な戦いでブラジルを破り32年ぶりの準決勝進出を果たしたベルギー。帰ってきた「赤い悪魔」のさらなる野望を打ち砕いたのは、フランスの経験と対応力だった。

 ブラジル戦ではルカク、E・アザール、デブルイネを前線に残してカウンターという「奇策」を見せたマルティネス監督は、この試合でもエースのE・アザールを攻撃時には左ウイングバックに置く今大会初めての布陣で臨み、フランスをかく乱。序盤はE・アザールのドリブルから相手陣内へと入り込み主導権を握ったベルギーだが、たびたびゴールに迫るもロリスの素晴らしいセーブもあり得点できず、先制を許したあとの采配に疑問が残った。

 一方、選手としてW杯を制した経験を持つデシャン監督率いるフランスは、序盤こそやや劣勢だったが、マチュイディの守備時のポジションを最終ライン左に下げての対応を指示、徐々に劣勢を挽回することに成功させ、見事な手腕を発揮した。

 セットプレーで先制すると、その後は盤石の守備組織でベルギー必死の攻撃をシャットアウト。バラン、ウンティティのセンターバックコンビ、カンテとポグバの中盤センターたちは皆、欧州ビッグクラブでレギュラーを張り若さ、能力、経験の全てを兼ねそろえた「エキスパート」。彼らが作り出す固い守備、柔軟な対応力がチームを支えているのは間違いない。ロリスを含めた「盤石のセンターライン」があってこそ、グリーズマンやエムバペといった前線の選手たちが力を発揮できる。それがフランスの強さの秘訣(ひけつ)だ。また、ボールに多く関わることはないものの「水を運ぶ」仕事でチームに大きな貢献を見せてきたマチュイディの存在も忘れてはならない。

 さまざまな特長を持った選手たちをまとめ上げてきたデシャン監督の仕事は称賛されるべきもの。世界王者まで残す試合はあと1つだ。 (2002年W杯日本代表MF)

中スポ 東京中日スポーツ

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