7月5日

<蹴球分析 大住良之>団結こそ日本の生きる道

 日本代表の熱戦を終え、暑かったロストフナドヌーからモスクワに戻ると、どんより曇り、秋を思わせる涼しさだった。

 優勝候補の一角を相手に、ベルギー戦は本当に見事な戦いをした。「守備をベースに速い攻撃を繰り出す」という「弱者の論理」ではなく、堂々と自分たちのいちばん良いところを押し出して勝とうとし、実際、その一歩手前まで行った。結果は残念だったが、今後の日本サッカーの重要な指針になる試合だった。

 では今回の日本代表は何が良かったのか。たくさんの要素がある中で私が強く感じたのは、「試合への取り組み方」だった。

 監督とピッチ上の選手だけでなく、ベンチにいる選手、スタッフ、そして日本サッカー協会まで、完全に一つの方向を向き、全員が日本の勝利のためにできる限りの努力をした。選手たちは一切手を抜かずに走り、戦い、そして考え続けた。全員がエゴを捨ててチームのために行動したことは、「ベスト16」という結果以上に重要だった。

 2010年南アフリカ大会も同じだった。その取り組み方の良さが何年か持続した。だが4年後のブラジル大会ではどこか歯車が狂い、そのまま4年間がたって、ようやくロシアの地で「チーム一丸」のサッカーを見た気がした。

 パスをつなぐサッカー、速く攻めるサッカー…。そんなものは二の次だ。全員が同じ方向を向き、一丸となって戦うことが、何よりの勝利への道だ。その教訓を、絶対に忘れてはいけない。 (モスクワ、サッカージャーナリスト)

中日新聞 東京新聞

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