7月4日

<戸田和幸 Russia>未来見えた集団としての戦い

 強国ベルギーをギリギリまで追い詰めた日本。しかしベスト16の壁は今回も超えることはできなかった。優勝候補の一つに挙げられるベルギー相手に日本が見せた戦いは、進むべき未来が見えるものだったのではないか。ロストフ・アリーナで目にした彼らのサッカーは、そう感じさせてくれた。

 相手は欧州のトップクラブで主力を張るモンスターばかり。身体的にも飛び抜けたトップレベルの選手たちが、驚くほどのテクニックで機敏に襲い掛かってきたが、日本は勇敢に立ち向かいあと一歩のところまで追いつめた。

 この試合で日本が見せたもの、それは「集団として、いかに戦うか」というものだった。守備では前線からこまめにポジション修正しながら、相手の攻撃の選択肢を狭め、恐れずに体を投げ出して侵入を阻止した。

 攻撃では極力接触を回避しながら、香川の巧みなポジショニングや大迫のポストプレー、柴崎のパスに乾のドリブルといった、欧州でもまれてレベルを上げた「個性」をしっかりと発揮しゴールを目指した。

 われわれには、われわれにしかできないことがあり、それらを正しく使いこなすことができれば、ベルギーのような強国相手にも十分戦えることを彼らは見せてくれた。E・アザールの異次元のプレー、ルカクの人とは思えないフィジカル、デブルイネの驚くほど冷静な判断力と技術。この選手達のレベルに到達することは簡単ではない、というより不可能かもしれない。

 だからと言って、自らを卑下する必要はなく、自分たちが持ち得るものを着実に膨らませながら正しく歩みを進めていくことが大切だ。サッカーに対する理解、戦術的な対応力、決断力、技術、そして協調。これら全てを日本サッカーの「強み」とすべく、ここからまた4年後に向けて挑戦していく。

 非常に悔しい敗戦となったが、同時に日本サッカーの未来が見える闘いでもあった。

(2002年W杯日本代表MF)

中スポ 東京中日スポーツ

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