7月4日

<藤田俊哉の目>難しい試合の終え方

 日本にとって、この上なく素晴らしい試合だったことは間違いない。ベルギーを追い詰めた姿は多くの人に感動を与えたと思う。それでも、最後は逆転負け。それが世界との差だ。

 90分間をどう終えるかは、本当に難しい。後半ロスタイムのCKで日本は吉田、昌子の両センターバックを含めゴール前に人数をかけた。本田が上げたボールはGKに渡り、カウンターから決勝点を奪われた。リスクを避けて終盤に攻めず、批判を受けながらも1次リーグ突破を狙ったポーランド戦とは対照的な選択だった。

 あの局面でまともに蹴る必要があったのかという疑問は残るが、得点できるイメージがあったのだろう。結果論であれこれ言うのは簡単。得点を取りに行った選手たちの判断は尊重したい。

 前半を0−0で終え、2−0とリードするまでは最高のゲームプランだったはずだ。2点を追うベルギーが打った手は、攻撃に「高さ」というオプションを増やす194センチのフェライニの投入。日本が対応を誤ったとは思わない。分かりやすい狙いを着実に遂行したベルギーが、実力で上回っていたということだ。

 過去になく日本代表への期待度が低かった今大会。まずは短期間でチームをつくり上げた西野監督、見事に応えた選手に拍手を送りたい。これからは、足りなかったものをみんなで検証していく作業になる。一つの結果に一喜一憂するのでなく、冷静に、この先ベスト8以上に進むために何を学ぶかだ。

 1993年のドーハの悲劇があって、4年後にジョホールバルでのW杯初出場決定があった。すべての積み重ねが歴史になる。今回の結果は、これまで日本のサッカーが進んできた道が間違いではなかったということを示した。 (元日本代表MF)

中日新聞 東京新聞

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