6月30日

<藤田俊哉の目>突破、最高の結果

 人は欲張りだし、日本人は喜びを爆発させることが苦手なのかもしれない。事前に盤石と言われたドイツさえ最下位で敗退した1次リーグを日本が突破したことは、最高の結果だ。素直に喜んでいいと思う。

 負けている試合の終盤に攻めなかったことに対し、いろいろな見方があるようだが、これも含めてサッカー。突破できなかったときの方が批判は大きかっただろう。攻めて守備が手薄になるリスク、他会場の結果次第になるリスクも十分に考慮して、結果を取りに行った。先々を考えて主力をある程度休ませたことも含め、日本が見せた勇気は次につながるものだった。

 内容まで注文を付けるのはややぜいたくかもしれないが、今大会の日本がそれだけの期待をされるほど成長したことの表れといえる。西野監督が「本意ではない」と話していたが、もし選手にフラストレーションがあるなら次戦にぶつけてほしい。

 次戦の相手ベルギーは、強豪国の中でも特に順調な試合を見せている。ここまで4ゴールを挙げた190センチのストライカー、ルカクがいる上、中盤にもデブルイネやE・アザールをはじめワールドクラスの戦力が整っている。苦しい戦いになるだろう。

 相手に高さがあるだけに、引いて守るだけではロングボールを入れられるとつらい。ある程度守備ラインを高く保ち、ここまで見せたような「攻めながら守る」スタイルを貫くべきだろう。

 チームには、ハリルホジッチ前監督のころにはなかった団結力が生まれている。1次リーグ突破を果たし、ここからはご褒美の旅。プレッシャーを感じずに思い切って戦い、初めてのベスト8進出という新たな歴史をつくってほしい。 (元日本代表MF)

中日新聞 東京新聞

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