6月30日

<Scouting ラモス瑠偉>西野監督の采配を全面支持

 ちまたでは西野監督の采配に関して批判的な声も上がっている。しかし、私は全面的に支持する。勝負の世界、結果がすべてだ。ポーランドに敗れて2位突破となったが、この試合の最大の目的は決勝トーナメントに進出することだ。最後に攻めないでボールを回した。それのどこが悪い。ルールにのっとり、フェアプレーポイントでセネガルを上回った。セネガルが同点に追い付く可能性もあった。そのリスクを含めて、西野監督が「攻めない」という決断を下し16強入りした。西野監督の決断に敬意を表したいと思う。

 それにしても、先発を6人入れ替えたことには驚かされた。消耗を考えれば、3人くらいの入れ替えはあるかもしれないと考えていたが、6人。それでもいけると西野監督は判断した。もし、6人も代えて決勝T進出を逃せば、非難されることは覚悟の上。選手に対する信頼度の高さ。同時に絶対に8強に進出するという強烈な信念があった。

 その信頼に選手も応えた。前半はきっちりとリスクマネジメントしながら、攻めた。誤算があったとすれば、後半開始早々に岡崎がケガで交代を余儀なくされたことだろう。ここで予定外のカードを1枚切らなければならなくなった。残り43分、3人代えられるのと、2人しか代えられないのではゲームプランが大きく変わってくる。

 後半14分に先制され、この時点で決勝T進出の権利を失う。当然、攻勢に出たが、大きな分岐点が残り15分の時点で訪れた。コロンビアが先制し、日本はフェアプレーポイントによる決勝T進出の権利を得た。西野監督が切った最後のカードは、武藤に代え、長谷部。「攻めない」という究極の選択だった。

 冷静に状況を判断し、西野監督がすべての責任を背負って下した決断だ。ロスタイムの失点でW杯初出場を逃した「ドーハの悲劇」。西野監督はその戦いを偵察部隊として経験した。アトランタ五輪では監督として「マイアミの奇跡」を起こし2勝1敗。それでも1次リーグで敗退した。いずれも得失点差の勝負に敗れた。歴史の積み重ね。西野監督が導き出した決断に、誰が文句を言えるのか。

 ここから先は一発勝負のノックアウト方式。温存した6選手を最初から突っ込み、思う存分勝負ができる。ベルギーはルカク、アザールら強烈な攻撃陣を誇るが、日本は組織的な守りと攻めでセネガル、コロンビアから勝ち点を奪い、勝ち残った。そして16強で満足している選手は誰もいない。最大の武器は、23選手と監督、スタッフを結ぶ絶対的な一体感と信頼感。ブラジルとベスト4進出をかけた死闘を演じている日本の姿を思い描いているのは、私だけだろうか。 (ビーチサッカー日本代表監督)

中スポ 東京中日スポーツ

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