6月29日

<蹴球分析 大住良之>「戦う心」が分けた明暗

 25日から行われた各組の第3戦は熱戦続きだった。スペインがビデオ判定(VAR=ビデオ・アシスタント・レフェリー)の力で敗退を逃れ、2試合で勝ち点1だったアルゼンチンが生き残り、ブラジルも負けたら敗退という試合をしっかりと勝ち切った。だが、前回優勝のドイツは、韓国のゴールをこじ開けることができず敗退した。

 同じように優勝候補に挙げられ、1次リーグは問題なく勝ち抜くはずだった4チーム。明暗を分けたのは何だったのだろうか。

 試合を見ながら感じたのは「姿勢」の違いだった。最終戦に向け、スペイン、アルゼンチン、ブラジルの選手たちは「戦って勝つ」という強い気持ちを表に押し出した。特にアルゼンチンは、フィジカルの強いナイジェリアに対し、全員が全くひるむことなく体をぶつけていった。1点をリードした終盤には、メッシまでがボールを奪われると必死に追ってスライディングタックルをかけた。

 ブラジルは戦う姿勢のうえにチームとしての完成度があったが、アルゼンチンにあるのはメッシだけ。それでも戦い、勝ち切った。

 それに対し、ドイツはただサッカーをしているようだった。圧倒的にボールを支配して、「いつか取れる」とみんなが思っているようだった。守備陣には切迫感が感じられたが、攻撃陣はパスをしたら走らず、クロスが入ってもペナルティーエリアに突っ込む選手は少なかった。

 技術や戦術以前にサッカーは「人間対人間」のスポーツであることを改めて思った。何よりも「戦う心」が大事であることを再認識した。 (ボルゴグラード、サッカージャーナリスト)

中日新聞 東京新聞

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