6月27日

<奥寺康彦の目>前線からの守り 修正必要

 モロッコが何としても勝つんだという気持ちの入ったプレーを見せてくれた。20年ぶりのW杯勝利を目指す強い気持ちもあったと思う。1次リーグ敗退となったが、諦めずに戦う姿勢にとても感動した。苦戦したスペインは、相手にコンパクトに守られると簡単には崩せなかった。第2戦でも、引いて守ったイランにすごく苦しんでいた。

 スペインは「つなぐサッカー」しかできないし、それしかやらない。最初の失点に至る場面は、パスミスを常に狙っていたモロッコにうまくボールを取られてしまった。一方でディエゴコスタ、イニエスタとつないでイスコが決めた同点弾の場面はスペースを使ってポンポンとつないだ。自分たちのやってきたことを貫き通す。それがスペインのサッカーだからだ。

 相手のカウンター攻撃は承知の上だったと思うが、もっとリスク管理をした方がいいと思う。ボールを奪われると中盤でなかなか奪い返せない。イニエスタやシルバ、イスコはそれほど守備が強くないタイプだ。相手がミスをしない限り、自陣まで押し込められてしまう。しわ寄せは最終ラインにいく。

 前線はもちろん、もう少し中盤からも守備ができるよう修正しないと同じような展開になり得る。速い攻めにつなげるためにも、後半に良い場面があったように高い位置でボールを奪いたい。

 決勝トーナメント1回戦の相手ロシアはスペインを十分に分析し、モロッコと同じような戦いをしてくるだろう。スペインは絶対と言っていいほど戦い方を変えない。ただ、もっとパススピードを上げ、ペナルティーエリア内でのボールコントロール精度も上げないと、これから先は難しくなるかもしれない。 (元日本代表FW)

中日新聞 東京新聞

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