6月26日

<藤田俊哉の目>本田の本当のすごさ見た

 素晴らしい戦いだった。日本は2試合を終え勝ち点4。開幕前、誰がこれほどの好成績を予想しただろうか。コロンビアからの勝利は「相手が10人だからできた」という部分も選手の心にあったかと思う。ただ今回は、互いに勝てば1次リーグ通過が決まる可能性があった試合で、がっちり組み合って引き分け。内容も充実し、改めてチーム力の高まりを示した。

 脇役に回った本田が途中出場直後にゴールを決め、主役に返り咲く活躍。名古屋で一緒にプレーした仲間として、本当にうれしい。流し込んだだけのように見えるかもしれないが、簡単なシュートではない。クロスは難しい弾み方をしたし、ゴール前には相手選手が2人いた。あの場面で決めきれる選手と、そうでない選手の差は大きい。本当のすごさを見せてくれた。

 セネガルは、攻撃の怖さや対応力は十分にあった。ポーランドを破った初戦ほど良くないように見えたのは、吉田、昌子の両センターバックを中心にゴール前を締めて、相手の長所を封じることに成功した結果だと感じた。

 リードされてから2度追い付き、逆転のチャンスまでつくった。追い込まれた局面での強い精神力は、従来日本人に足りない部分とされてきただけに驚かされた。低かった前評判に対する悔しさをぶつけながらも冷静な試合運びができたのは、経験豊富な選手が多いことのメリットといえるだろう。

 初戦と全く同じ先発メンバーを並べたことは予想外だった。出番が来ない控え選手には苦しい状況だが、途中出場の本田、岡崎がきっちり仕事をしたことはいい刺激になるのではないか。

 何とかポーランド戦でも勝ち点を取って、1次リーグを突破してほしい。それを十分に実現できる戦いぶりを、今大会の日本は見せている。 (元日本代表MF)

中日新聞 東京新聞

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。

速報
ピックアップ
コラム・評論

Search | 検索