6月21日

<Scouting ラモス瑠偉>西野監督の手腕 高く評価

セネガル戦に向けて調整する槙野(中央)ら選手たち=カザンで(岩本旭人撮影)

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 日本がコロンビアを破った「小さな奇跡」に、元日本代表MFで、本紙評論家のラモス瑠偉さん(61)=ビーチサッカー日本代表監督=も大喜び。短期間で選手の長所をつかんで引き出し、大事な初戦でチームを勝利に導いた、西野朗監督(63)の手腕を高く評価した。勝てば1次リーグ突破、16強入りに大きく前進する次戦・セネガル戦(日本時間25日午前0時開始・エカテリンブルク)に向けても提言。コロンビア戦同様、守備ではアグレッシブさ、攻撃では縦に速いパスを攻略の鍵に挙げ、西野ジャパンに奮起を促した。

 わずかな期間で、西野監督は選手のストロングポイントをきっちりと把握し、見事に引き出した。先制ゴールを生み出したシーン。前半3分、昌子のクリアを香川がワンタッチで前線に浮き球で出し、大迫がうまく相手DFと体を入れ替えて突破。体幹の強さを生かしてシュートまで持ち込んだ。GKに阻まれたが、そのこぼれ球を香川がダイレクトでシュートし、相手のハンドを誘ってPKを得た。

 香川はこのとき、パス出しから50メートル以上走って、シュートを打っている。大迫の強さと香川のスピードと走力を組み合わせた見事な攻撃。まさに西野監督の狙い通りのプレーだった。

コロンビア戦の前半、パスを出す柴崎=サランスクで(共同)

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 ただ、コロンビアが退場で10人になってから、日本は明らかに戸惑っていた。相手は4−4−1のブロックをつくり、自陣に引いた。時間がたっぷりあるので、カウンター狙いに切り替えた。10人の相手と戦うのは意外に難しい。うかつに攻め入ると、カウンターの餌食になる。

 日本は必要以上に慎重になり、意味のないボール回しが多くなった。そしてFKで同点に追い付かれる。しかし、後半になって、日本は見事に修正した。そこには西野監督の「勝ちにいく」という明確なメッセージがあったはずだ。

 柴崎の速い縦パスが明らかに増えた。これに呼応するかのように左右MFの乾、原口がどんどん仕掛け、さらにサイドバックの酒井宏、長友が攻撃参加する。そして後半28分、大迫の決勝ゴールが生まれた。その大迫は後半32分、ロドリゲスのシュートを身をていしてブロック。大迫だけではない。全員が最後の最後まで走り抜き、戦い抜いた。まさに全員でつかみ取った勝利。この結束力、一体感を生み出したのは、まぎれもなく西野監督だと思う。

 アジア勢では初のW杯での対南米勢相手の勝利。歴史的な1勝だが、まだ決勝トーナメント進出を決めたわけではない。次のセネガルは相当手ごわい。アフリカのチームとは思えないほど組織的なサッカーをする。4−4−2で高めの位置に守備のブロックを形成し、網にかかったら速攻を仕掛けてくる。マネが注目されているが、ニャンも強烈だ。高い、強い、速い−。マークの受け渡しをしっかりと行い、引かずにアグレッシブに守ることが大事だ。

 相手のブロックの中に不用意に突っ込んでいくと厳しいが、横パスで逃げるだけでは駄目だ。武器はあくまで速い縦パス。西野ジャパンならいける、やれる。

中スポ 東京中日スポーツ

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