6月21日

<戸田和幸 Russia>セネガル手強い、身体力+組織力

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 世界最高レベルのアタッカーを持つチーム同士の戦いは、より組織としての頑強さと柔軟性を持っていたセネガルに軍配が上がった。

 ポーランドは最前線に構える大エースのレバンドフスキにボールを届けることを終始目指したが、前半は中央エリアを完全に遮断されてしまう。後半に入るとシステムを変更し相手の守備陣形に対して「ズレ」を作りながら敵陣に入っていけるようになったが、局面の攻防に敗れて先制点を与え、2失点目はバックパスをかっさらわれた。ポーランドの選手は体も大きくパワーがあるが、セネガルの選手たちのスピードとパワーにはかなわず、チームの要だったセンターバックにけが人が出てしまい後ろの安定感に欠けたところをモロに突かれてしまった試合だった。

 一方のセネガル。ブラックアフリカンだけが持つ身体的な特徴に、組織を携え日韓大会以来となるW杯を白星でスタートさせることに成功した。エースのマネは攻撃はもちろん、守備面でもサイドからの攻め上がりにしっかりと付いていく献身性も披露。その上で攻撃面でも抜群のスピードとテクニック、走力を生かし違いを見せた。

 この試合は、エースに対する依存度の違いが、そのまま結果に直結したともいえる。日本が次戦で戦うセネガルは、マネに頼ることなくきちんとボールを運び、守備でもしっかりとした組織を構築している。この試合でも後半途中からシステムを変更しポーランドに傾きかけていた流れを食い止めることに成功した。

 この世に存在する全てのものと同じく、サッカーも常に変化し進化してきた。より複雑な戦術も生まれ、試合中の戦術変更も当たり前に行われる。元来その飛び抜けた身体能力を前面に押し出して戦ってきたブラックアフリカまでもが、試合中にシステムを変更してくる時代となった。次の試合はセネガルにとっても、勝てば決勝トーナメント進出が大きく近づく重要な試合となる。 (2002年W杯日本代表)

中スポ 東京中日スポーツ

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