6月19日

<奥寺康彦の目>V候補に火が付いた

 ひと言で言えば、スイスがよく頑張った。技術に優れるブラジルの選手たちに粘り強く対応した。ブラジルの右FWビリアンや左のネイマール、MFコウチーニョらドリブルで突破する選手たちを、中を固めながらうまくはね返した。ブラジルは立ち上がりは2列目のパウリーニョもどんどん攻め上がっていたが、スペースを与えてもらえなくなると消えていた。

 スイスは特に右の守備的MFベーラミと右サイドバックのリヒトシュタイナーが、対峙(たいじ)するネイマールを抑えた。あれはすごかった。スペースを与えて自由にやらせないよう、スピードに乗る前に素早くチェックにいく。ベーラミはネイマールに負けずにガンガンいってボールを奪った。

 ブラジルは右のビリアンも突破力があるが、相手をかわしてパスやシュートのあるネイマールほどの怖さはない。やっぱりネイマール。スイスはそこを抑えた。ユニホームを引っ張って止める場面もあったが警告覚悟でやったのだろう。ネイマールは左サイドの端でボールをもらうだけでなく、中央や両サイドを全部使った動きをした方がいい。

 前半20分に先制したブラジルは、まだ初戦だからと、点を取られなければいいとの考えがあったかもしれない。かさにかかって2点目を早く取りにいった方が良かった。ただ、初戦は下馬評通りにならないことが起こりやすい。

 この試合の前にあったドイツはメキシコに敗れた。ドイツは「ストライカー」と言える存在がいないしわ寄せがここに出たこともあるが、トップチームほど最初から飛ばさないもの。ブラジルもドイツも、これで火が付いたはずだ。本気のブラジルは、次戦は3、4点は取るのではないか。ネイマールはもっとできると思う。まだまだ調子は上がる。見る方は面白いだろう。 (元日本代表FW)

中日新聞 東京新聞

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