6月17日

<藤田俊哉の目>4発快勝の自信、勢いに

 ガーナ、スイス、パラグアイとの親善試合で日本は、選手起用や3バックの採用を含め、戦い方のオプションを探し続けた印象だ。テストとしての意味合いが強かった分、現時点で評価は難しいが、事実上ぶっつけ本番で本大会に臨むことになったことは確かだ。

 最初の2試合で結果が出なかった分、パラグアイに4−2で勝ったことは選手の自信回復につながったのではないか。結果がチームを良い方向に動かしてくれる面はある。前に進むための勢いにしたいところだ。

 パラグアイの状態には疑問符も付いたが、どんな相手でも4点取るのは難しい。ゴールで評価を高め、起用を悩ませるような選手も出てきた。主力組と控え組がある程度定まっていた試合前の状況から、競争がもう一度始まったのは良いことだ。

 本大会では4バックが予想される。守備に軸足を置いた戦い方が基本となるだろう。今の日本に世界と正面切って戦える実力があるとは言い難い。思い切って攻撃重視の殴り合いを仕掛ければ、返り討ちに遭う可能性が高い。0−0の時間を長くして、どう1点を取るかを考えたい。

 チームの軸になる選手は、やはり本田や長谷部らベテラン勢。中心に据えるから選出したはずだ。本田はガーナ戦、スイス戦で周囲の評価が低かったが、本人はあまり気にしていないと思う。覚悟を持って本番に臨み、結果を出す男だから心配はしていない。

 スペインは開幕2日前に監督を交代させて世界を驚かせた。いろいろなことがあるのが世界のサッカー。西野監督の準備期間は2カ月と短かったが、言い訳にはできないことがあらためて示された。選手たちには、とにかく目の前のプレーを一生懸命やってほしい。「言われなくても分かっている」というだろうが。 (元日本代表MF)

<ふじた・としや> 1971年、静岡県生まれ。清水商高(現清水桜が丘高)から筑波大を経て磐田に入団。得点感覚に優れたMFとして磐田の黄金期を支え、2001年にリーグ最優秀選手に選ばれた。ユトレヒト(オランダ)、名古屋などでもプレーした。J1通算419試合100得点。日本代表では24試合3得点。引退後はオランダのVVVフェンロのコーチに就き、現在はイングランド2部のリーズのテクニカルスタッフを務める。

中日新聞 東京新聞

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