6月16日

<奥寺康彦の目>独は万全 タレント多い仏

 ドイツは中心選手のMFエジル(アーセナル)にけがの報道があったが、たぶん大丈夫だと思う。たとえ初戦に欠場してもロイス(ドルトムント)もいる。選手層が厚く、レーウ監督もばたばたしていないだろう。良いか悪いかは別にして、どこからでも点が取れるのがドイツの良さだ。チームとして万全の状態で仕上がっていると思う。

 20年ぶりの優勝を目指すフランスは素晴らしい選手がそろう。スピードとシュート技術に優れるグリーズマン(アトレチコ・マドリード)、19歳のエムバペ(パリ・サンジェルマン)、中盤のポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)ら名前を挙げれば切りがない。ただチームをまとめるような選手が見つからない。万が一、つまずいた時にどうなるか。

 前回大会の準決勝でドイツに1−7で敗れたブラジルは、その試合を欠場したネイマール(パリ・サンジェルマン)だけに頼らないチームづくりをしてきた。今大会も中心にはなるだろうが、チーム編成はとてもバランスがとれている。

 現代サッカーは、ハードワークが不可欠。そういう相手を、どう打開するか。開幕戦で勝利したロシアは飛び抜けた選手がいるわけではないが、守備ではしっかりブロックをつくり、アグレッシブにボールを奪ったら速く攻める。サウジアラビアはそのロシアを打開できなかった。

 W杯は優れた選手1人だけでも勝てない。欧州予選をグループ首位で突破した初出場のアイスランドは堅守でハードワークし、チーム一丸となって戦う。強国が多い今大会でベスト8ぐらいまで行けば、すごいことになると思う。

 J1神戸に加入したスペインのイニエスタのプレーも見てほしい。体は小さいが、いま何をすべきかに瞬時に正確な答えを出していく。意味のあるボールの持ち方から意味のあるパスを繰り出し、自分でも仕掛ける。それがシンプルに分かっている。 (元日本代表FW)

<おくでら・やすひこ> 1952年、秋田県生まれ。77年に日本リーグ古河電工から、西ドイツ(現ドイツ)の1FCケルンに入団。欧州で日本人初のプロ選手となる。同シーズン、リーグとドイツ杯の2冠を達成。その後は同国のブレーメンなどでも活躍した。正確無比なプレースタイルから「東洋のコンピューター」と呼ばれた。西ドイツ1部リーグ通算235試合25得点。日本代表では32試合で9得点。現在は横浜FC会長。

中日新聞 東京新聞

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